リスクマネジメント(BCM等)

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2016年度 目標 2016年度 実績 評 価 2017年度 目標
DICグループの事業継続性の確保 ・リスクマネジメント部会を中心にグループ各社のリスクマネジメントを推進する
・子会社ガバナンスについては内部統制と組み合わせた仕組みを整備する
・BCPの整備と更新を継続し、実効性を高める訓練を実施する。本社危機管理体制が有効に機能するよう、マニュアル整備と更新、各種訓練を計画、実施する
・国内外のグループ各社へリスクマネジメント方針や活動の啓発を図りつつ、各社の取り組みを支援した
・重大リスク対策に継続して取り組み、15テーマは完了、子会社ガバナンス強化は選任基準や管理基準、教育訓練など仕組みの整備を図った。内部統制の強化のため継続して重大リスクテーマとして取り組む
・DICの製品本部のBCP関係者の訓練・研修を実施し、製品本部別BCPを更新した
・対策本部が機能するマニュアル、体制、備品類を整備・更新し、図上訓練を実施してメンバーの啓発と組織の有効性を高めた。本社被災を想定した危機管理体制、備品を整備し、各種訓練や小冊子により啓発を図った
★★★ ・リスクマネジメントに関する方針に則ったリスクマネジメントシステムのグローバルへの周知徹底と展開
・リスクマネジメント部会を中心に子会社ガバナンスなど重要リスク対策の計画的遂行
・製品本部BCPの定期更新と製品本部・拠点間のBCP連携の推進
・グループの中枢機能であるDIC本社の危機管理体制強化と海外安全対策の推進
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

リスクマネジメントの基本的な考え方

DICグループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めます。DICグループでは広範なリスクを ①発生防止対策を取り得ない外部環境リスク、 ②発生防止対策を取り得るコーポレートリスク、③事業の中で認識すべき事業ビジネスリスクに区分し、サステナビリティ委員会の下部組織であるリスクマネジメント部会が、リスク対策が適切に運用されるよう管理・監督を行っています。

リスクマネジメント方針

DICのリスクマネジメント活動は、2001年にコンプライアンス委員会を発足するとともに通報窓口を設置。2012年5月リスクマネジメント部会を発足し、以降は重大自然災害発生時の対応や事業部門のBCM(事業継続マネジメント)を中心に、全社的な取り組みを進めてきました。2014年度からはDICグループ全体の企業価値向上を目指し、リスクマネジメント部会が主体となって、方針やマネジメントシステムの策定等に取り組んでいます。これらの活動や仕組みを実効的かつ継続的に推進するため、2015年1月にはDICグループの「リスクマネジメントに関する方針」を制定しました。

リスクマネジメントに関する方針

  1. リスクマネジメントの目的
  2. DICグループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかにかつ最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めていきます。

  3. リスク及びリスクマネジメントの定義
  4. DICグループは、リスク及びリスクマネジメントを次のように定義します。
    1. リスク:DICグループのサステナビリティを脅かし、事業の目的達成に支障を来たす不確実性の影響すべて
    2. リスクマネジメント:DICグループを取り巻くあらゆるリスクをグループ全体の視点で合理的かつ最適な方法により管理することで、企業価値を高めていく活動

  5. リスクマネジメントの運用
  6. 1. DICグループは、経営に与える影響や発生する可能性等に基づいて、グループを取り巻くあらゆるリスクを総合的に評価して優先順位を決め、計画的、組織的、効率的に対応します。
    2. DICグループは、リスクマネジメントシステムを構築し、PDCAのサイクルを適切に回すことにより、その有効性を確保します。
    3. リスクマネジメント部会は、DICグループの中でこれらの対応が適切に運用されるよう、個別の事業活動におけるリスクマネジメントとの効果的な役割分担を図るとともに、サステナビリティ委員会に対して定期的に活動内容を報告します。

DIC株式会社

リスクマネジメント部会の様子
リスクマネジメント部会の様子

2016年度よりリスクマネジメント方針やリスクマネジメント活動に関して、社内ポータルサイト掲示板や社内広報誌である『 DIC Plaza』などを用いて、 DICグループ(国内外グループ会社含む)への啓発を行いました。国内事業所長やグループ会社幹部などへの研修や説明機会を通じて、リスクマネジメントの啓発とレベルアップに取り組みました。

リスクの定義と対応部門

リスクマネジメントを推進するにあたり、リスクを3つに大別して認識するとともに、リスクごとの担当部門を明確にして対策に取り組んでいます。

リスクマネジメントシステム

リスクマネジメント部会では、方針制定と同時に「 DICグループリスクマネジメントシステム」を作成しました。このシステムは、経営幹部向けリスクアンケートに基づき重大リスクを抽出し、計画の策定-実施-評価-改善-経営者によるレビューに至るフェーズのPDCAを回すことで、継続的にリスク低減に取り組むものです。
同システムに基づき、2014~ 2016年を第1期としてグループ全体のリスクマネジメント活動をスタートしましたが、活動で 得た知見を活かし、以後は年次で取り組んでいきます。活動を推進するにあたり、リスクマネジメント部会を構成する本社の管理部門等(横串の機能体組織)を中心に重大リスクごとの担当部署(リスクオーナー)を設定し、リスク関連部署とも連携してリスク対策に取り組んでいます。2014年からの第1期では、大地震など自然災害リスクや為替・金利変動リスクなど役員へのリスクアンケートで抽出された16の重要リスク対策に取り組みました。
今後は、基本方針やリスクマネジメントシステムのさらなる周知・浸透を図り、例えばBCMにおいてはDIC本社による主導のもと「グローバルBCPガイドライン」を策定し、世界各国・地域の実情を勘案しながら最適化しつつグローバル展開を進めていきます。

2016年度までのリスク対策の進捗

リスクマネジメント部会では、抽出した16の重要リスクのうち、広範なテーマとして取り組みを継続している「子会社ガバナンス」(次ページに詳細)を除く15テーマについては、リスク対策計画の策定から、実施、評価、経営者によるレビューまで完了し、日常業務レベルでの管理に移行しました。これらはPDCAを回しながらグループ全体で継続的にレベルアップを図っていきます。
さらに2017年度からの活動として、マテリアリティの視点も取り入れ、以下の課題に対する対策が十分でなければ「事業機会や企業成長を阻害するリスクとなり得る」と判断し、新たなテーマに設定して取り組みを加速しています。

リスク対策の具体例(16 の重要リスクから抽出)

リスク項目 好ましくない事象例 主な対策内容
為替 ・ 金利変動 為替 ( 急激な円高 ):輸出採算悪化金利 ( 上昇 ):支払利息増加 ● 為替:外貨建資産 / 負債構造の継続的見直し、新興国投資、会社間取引の為替リスク集中管理
● 金利:有利子負債削減
設備事故 重大故障・爆発火災事故・労災、地震や停電等による損壊・稼働停止 ● 関連法令教育
● 安全教育 ・RA・PSM 等の整備普及
● 復旧計画準備
知的財産権 知的財産権侵害による訴訟、事業・研究開発の停止、賠償金支払 ● 他社事業に影響力のある戦略特許の増強
● 中国・韓国・台湾の特許情報収集とレベルアップ
大規模自然災害 地震、津波、噴火等の大規模自然災害時の死傷者発生、 帰宅困難者対応不備 ・ 復旧遅れ、 経営資源滅失、 操業停止、 復旧コスト発生、 等 ● 国内事業所に関する基礎情報収集と体制整備
● 主要製品 BCP の実効性確保に向けた支援実施
子会社ガバナンス 拠点長たる子会社代表者 ( 社長 ) の法令遵守、リスク管理の意識・方法論等の認識が希薄な場合の、子会社の事業遂行過程における統制リスクの高まり ● 子会社の役員選任要件、運営プロトコル、経営者の適格要件の設定・明文化
● 関係会社管理規程制定と管理基準設定
情報セキュリティ 物理的損壊による大量のデータ逸失、不用意なサイト閲覧によるウイルス感染、個人の故意・過失による情報の持出・漏えい ● コンピュータウイルス対策システムの更新
● インターネット環境の再構築
● 規程 ・ ガイドライン等の社員教育推進
パンデミック 家族を含む罹患者急増による要員不足、公共機関規制による通勤・出張・海外勤務や日常業務の広範な制限 ● 各拠点の危機対応整備状況確認、組織体制やマニュアルの整備等、危機管理に関するグループ全体の基盤整備を図る
● パンデミックを想定した主要製品 BCP 構築

TOPICS 子会社ガバナンス体制強化の取り組み

子会社ガバナンス強化の施策

DICグループは、63の国と地域で174のグループ会社が多様な事業を展開し、従業員の3分の2が海外拠点で従事し、売上高の過半数は日本以外の国・地域で計上されています。文化・制度・商習慣などが異なる中で、各子会社がグループ共通の価値観やビジョンを共有しながらも、各地域の法規制やルールを遵守しつつ経営資源を最大限に活用することでDICグループは持続的に成長することができます。
一方で、グループ拠点のどこかで万が一不祥事や不測の事態が発生すると、企業のブランドイメージが損なわれ、グループ全体がダメージを被るリスクを抱えていることは言うまでもありません。DICはこれをリスクマネジメントにおける喫緊かつ継続的に取り組むべき重要課題と位置づけ、組織運営サポート体制の構築による子会社ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。

子会社の経営を支える仕組みづくり

従来より、DICグループはグローバル企業として内部統制システムおよびガバナンス体制の整備を図ってきました。さらにリスクマネジメントシステムを機能させ、グローバル経営の強化・効率化を図るには、子会社の経営者の選定、監督の仕組み、経営者を支える子会社の業務体制および本社からの支援体制等をより強固に確立することが重要と考え、2016年度より以下の4テーマの整備に取り組んでいます。

①グループガバナンス体制の可視化:DICグループの組織は、製品軸と地域軸によるマトリックス組織となっていることから、現地の子会社がビジネス上の判断基準をどちらに置くべきか、業務分掌や権限ルールなどを整理・明確化しています。
②子会社取締役会の適正性の確保:子会社の経営者を監視する責任を持つ子会社取締役会の構成メンバーの選任要件や取締役会の運営ガイドラインを設定しています。
③子会社経営者の適格性の確保:リーダーシップ、マネジメント能力、コンプライアンス意識の高さなどの適格性を満たした経営者が選任されるよう子会社社長の選任要件を設定しています。
④子会社の現場が合理的な業務水準を確保するための施策:本社の目標値に沿った子会社評価のためのKPIの設定、本社の各機能部署が子会社の業務を支援・管理する水準の設定、子会社に期待する業務水準の設定などを行っています。

新たな法規制への対応

子会社に関わる課題の一つに移転価格税制があります。グループ内取引における移転価格については、所在国と相手国間でのニ重課税のリスクがあります。また、BEPSプロジェクトにより、2018年度から当社拠点が所在するすべての国で、現地の税務当局に対して一貫した説明が求められます。これらに対応するため、地域統括会社(DIC-China、 DIC-アジアパシフィック、サンケミカル)の関連組織とともに取引条件の確認・整理を行っています。

  • BEPS:Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転)の略。課税所得を人為的に減少させることと、経済活動の実態のない国(主として低税率国)に利益を移転させることを指す。「BEPSプロジェクト」は、これに対処しG20加盟国の要請により策定された税制の抜け穴を塞ぐ取り組み。
VOICE

ガバナンスとは、グループ共通の価値観や仕組みにより、
現場がビジネスに専念できる経営基盤づくり

従業員の3分の2が海外拠点で働いているDICグループでは、物理的・心理的に距離のある本社と海外拠点が、同じチームの仲間として心を一つにすることは容易ではありませんが、非常に重要性が高いと認識しています。
グループ共通の価値観とビジョンに基づき、事業をサステナブルに拡大し事業収益を最大化していくことにより、 各子会社の存在感をより発揮し、社員にとっても魅力ある企業グループに成長できるはずです。まさにガバナンスの目的はそこにあり、本社も子会社も同じDICチームの一員であるという認識と共通ルールを前提に、密に協力することでシナジー効果を発揮・享受できるのです。
各拠点のリーダーが日常に発生する些細なトラブルに忙殺されることなく事業拡大に専念できる経営基盤と、社員一人ひとりが誇りを持って働ける環境整備によって、DICはさらに魅力ある企業グル―プに成長できると確信しています。

執行役員(財務経理部門担当)二宮 啓之

執行役員(財務経理部門担当)
二宮 啓之

業継続マネジメント(BCM)

DICグループでは、東日本大震災を教訓に、大規模地震・水害等の自然災害、インフルエンザ等のパンデミック、工場における爆発・火災・漏えい等の事故、重大な企業不祥事等、事業継続に支障を来たす恐れのある、あらゆるリスクをBCMの想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
火山や地震の活動期に入ったとされる日本地区においては、自然災害リスクに対応した、本社機能の維持と対策本部体制の整備、被災拠点支援策、主要製品のBCP(事業継続計画)策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。

2016年度のBCM活動

2016年度は全製品本部のBCP関係者への教育訓練(講習と机上訓練)を実施し、BCP(事業継続計画)を更新しました。関係者がビジネス上のリスクについて共通に認識し、被災した際に限られたリソースを駆使してサプライチェーンをどう確保するのか、拠点をどう復旧するのか等、あらかじめ危機想定が重要との考えに基づき、今後も取り組みを推進していきます。
また、保安防災・化学物質管理・貿易管理などグローバル化学メーカー固有のリスク対策についても「レスポンシブル・ケア」活動を通じて継続的な強化を図っています。(レスポンシブル・ケアの推進)さらに、特許係争の未然防止と競争力の基盤強化に向け、他社の知的財産の侵害回避を図るデータベースの拡充、自社技術の権利化・ブラックボックス化を継続的に推進しています(知的財産への取り組み)。

生産機能の相互補完

DICグループでは、大規模な自然災害に遭遇した場合でもメーカーの供給責任を果たすという観点を重視しながらBCPに取り組んでいます。例えば、液晶材料等を生産する埼玉工場と中国の青島工場(青島迪迪愛生精細化)は、それぞれの地域で想定されるリスクに応じた緊急対応マニュアルを作成しています。現在、リスク発生時に必要に応じて、この2つの工場が相互に生産補完することを想定した液晶事業の統合BCPの策定や、対応シミュレーション会議の開催を進めています。
また、顔料を生産する事業所では、緊急時に備えた対応方法を常時検討していくなどの体制を整えています。

緊急対応訓練の実施

DICグループでは、安否確認訓練・緊急無線通報訓練・総合防災訓練・災害図上演習・BCP訓練など、様々な訓練を通して、いついかなる時に災害が発生しても被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。

  • 本社総合防災訓練本社総合防災訓練

  • 対策本部図上訓練対策本部図上訓練

  • BCP 訓練・研修BCP 訓練・研修

『非常時対応ポケットブック』の配布

非常時対応ポケットブック
非常時対応ポケットブック

本社ビルには関係グループ会社を含め1,300名を超える社員が勤務しています。本ポケットブックは、社員とその家族用に配布し、いざという時に備えるとともに非常時の本社の体制、フロアや部署の対応について明記しています。また家族との非常時の連絡手段などを取り決め、あらかじめ記入しておき、各自携帯できるようにコンパクトサイズにしています。

COMMENT

地域に根ざした企業活動が安全安心な街づくりに欠かせません

DIC様には日頃より社会貢献に熱心に取り組まれ、地域の安全安心な街づくりにご協力いただき大変感謝しております。毎年、自治会が主催し、日本橋消防署にご指導いただいている「日本橋三丁目西町会地域総合防災訓練」では、自治会メンバーとして会場の提供から運営支援まで積極的にご協力賜り、また、地区の防災倉庫もビル内に場所を提供いただくなど活動を支えていただいております。DIC様をはじめとする地区内の企業様のご協力もあり、自治会の防災活動が高く評価され、2016年は東京消防庁から消防総監最優秀賞、さらに全国において総務省の防災まちづくり大賞の最上位である総務大臣賞を受賞いたしました。この栄誉を誇りとし、今後も精進していく所存でありますが、DIC様にはこれからも地域に根ざし、ますます発展される企業として期待しております。引き続き地域の防災活動においては「共助」にご支援をよろしくお願いいたします。

日本橋三丁目西町会 会長(日本橋ゆかり 店主)野永 喜一郎 様

日本橋三丁目西町会 会長
(日本橋ゆかり 店主)
野永 喜一郎 様

  • 地域総合防災訓練地域総合防災訓練

  • 対策本部図上訓練

  • BCP 訓練・研修

サステナビリティ>

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