界面活性剤・表面改質剤とは

フッ素系界面活性剤は、含フッ素基の表面偏析のしやすさに基づき、0.05~0.5wt%(固形分中)の添加量で優れた界面活性効果を発揮します。特に、薄膜塗工(高揮発分、低粘度の溶液)あるいは、高速、高剪断力を伴う塗工において顕著な効果が期待できます。


フッ素系界面活性剤は、炭化水素系あるいはシリコーン系界面活性剤と比較して、より低い表面張力を実現します。フッ素系界面活性剤を添加した溶液は、表面張力(γL)の低さによって優れた濡れ性を実現します。


フッ素系界面活性剤は、表面近傍に多く存在しやすいため、溶剤の蒸発速度を制御する効果があり、優れた均一塗布性(レベリング性)を実現します。この効果は、オリゴマー型界面活性剤で顕著に現れ、分子量、マトリックス樹脂との相溶性、添加量等により変化します。

【 低回転数スピンコーティングにおけるレベリング効果の違い 】
低回転数でスピンコーティングを行うことにより,多量の溶剤を含む薄膜が形成されます。乾燥工程においてフッ素系界面活性剤の効果により、平滑な皮膜が形成されます。

【 薄膜塗工時のレベリング効果 実験条件 】
1. フェノライトPR-55(DIC製 フェノール樹脂)の20wt%PGMEA溶液を調整。
2. 6inch Siウェハ基板上に500rpmでスピンコーティング。
3. ホットプレート上で110℃×1分乾燥

【 膜厚分布の比較 】


スピンコーティングのような高剪断力を伴うコーティング方法では、静的表面張力よりも動的表面張力が塗布性に大きく影響を及ぼす場合があります。低い動的表面張力とは、コーティングのような動的な過程において、表面張力の変動が小さいことを意味します。

シリコンウエハ上に3000rpmにてスピンコーティング後(膜厚:約2μm)の表面状態を顕微鏡観察


フッ素系界面活性剤は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をはじめとするフッ素樹脂の分散において、以下の2工程で強力に効果を発揮します。

1. 分散媒や樹脂溶液の表面張力を大幅に低下させ、フッ素樹脂表面に対する濡れ性を向上させます。(分散性向上)
2. 含フッ素基がフッ素樹脂表面に吸着し、適切に設計された親媒性基が分散媒や樹脂溶液中に伸張します。この親媒性基の立体障害によりフッ素樹脂の凝集を防止します。 (分散安定性向上)

【推奨添加量】
0.5 ~ 5wt% (フッ素樹脂粒子中)

【用途例】

  • 固体潤滑塗料、自動車窓枠ゴム用、自動車部品用(しゅう動部)、光学機器・精密機器用の可動部コーティング用、 家電用(可動部)
  • フッ素系耐熱塗料
  • エンジンオイル添加剤

  • 熱分解型のフッ素系界面活性剤「メガファックDSシリーズ」は、熱処理により含フッ素基が脱離することを特徴とする新しいフッ素系界面活性剤です。
    レベリング剤として従来製品と同等の性能を有しますが、加熱処理を行うことで表面に配向した含フッ素基が脱離するため、塗膜表面と上塗りとのなじみ(リコート性)が大幅に改善します。

    【塗膜作成条件】
    1. レジスト組成物(PGMEA溶液)を調整。
    2. 10cm×10cmのCr基板上に1000rpmにてスピンコーティング後、80℃で3分間プリベークし、塗膜を形成。
    3. 0.5kJ/m2にてUV硬化。
    4. 230℃で20分間ポストベーク後、塗膜の状態を観察。


    リビング重合型フッ素系界面活性剤の量産化を実現しました。
    精密に制御された分子設計は、狙いとする性能の発現において強力な武器となります。特に、ブロックポリマー化された界面活性剤は、分子中での機能性官能基の集積効果により、効果的に表面特性をコントロールすることが可能となります。

    半導体デバイス前工程に代表される微量金属管理が必要なプロセスにおいて、顧客要求レベルに応じた高度な金属管理を行い、含有金属レベルを100ppb以下にコントロールすることが可能です。さらに、シングルppbでの管理を目指した製品化も進めています。

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