特集液晶・有機ELディスプレイ向け
カラーフィルタ用顔料(高機能顔料)

オンリーワンの光学特性でカラーフィルタ用顔料のトップシェア

より鮮明で美しい画質を再現し、液晶顔料のトップシェアを確保

液晶テレビ、パソコン、スマートフォンのカラー映像は、光の3原色であるレッド(R)・グリーン(G)・ブルー(B)を基本につくられます。この3原色のもとになるのが顔料です。液晶ディスプレイは、RGBをパターン状に塗布したカラーフィルタを、バックライトの光が透過することで画像を表示するため、カラーフィルタの顔料が直接、液晶画面の画質を左右します。
DICは、地上デジタル放送への移行による薄型テレビの需要増やスマートフォンの普及が進む2007年、輝度を格段に向上させたグリーン顔料「G58シリーズ」を上市しました。そして「FASTOGEN Green A350」では、突出した輝度とコントラストによって、少ないバックライト光量でも高画質を再現。さらに2014年には、スーパーハイビジョンなどの次世代高画質規格に対応する高輝度・高着色力を併せ持つ「G59シリーズ」を開発し、より広い色域によって自然界に近い再現性を実現しました。これらによりDICのグリーン顔料は、世界シェアの85%を超えるデファクト・スタンダード(事実上の世界標準)となっています。また、ブルー顔料においても、2012年に輝度とコントラストの卓越したバランスを備えた「Aシリーズ」を開発。その優れた光学特性がスマートフォン業界で高く評価され、市場シェアは約50%に達しています。
このように、液晶テレビ、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど、デバイスごとに異なる要求性能に的確に応えながら新たな付加価値を提供するDICの高機能顔料は、多くのディスプレイメーカーのカラーフィルタに採用され、ディスプレイの高画質化・省エネルギー化(CO2排出削減)に貢献しています。またDICグループの中期経営計画「DIC108」でも成長牽引事業の一つと位置づけ、開発力・製品供給力の強化を図っています。

液晶ディスプレイの構造と顔料

印刷インキで培ったベーステクノロジーを高機能顔料に展開・応用し、世界のデファクト・スタンダードに

DICは1915年にオフセットインキを自社開発し、10年後には有機顔料の自給生産を開始しています。以降も化学メーカーとしての開発設計や製造技術を蓄積し、1973年には高性能・長寿命なネマティック型液晶を製品化し、世界初の液晶表示電卓(シャープ製)に採用されています。その情熱と開発力は、液晶カラーフィルタ用顔料でも存分に発揮されました。
大型の液晶テレビは臨場感のある映像や忠実な色の再現力が求められ、スマートフォンなどの小さな画面には見やすくクリアな表示と、光量が少なくてもクリアに見える輝度の高さが求められます。光量が少なくてすめば、バッテリーを長持ちさせられるからです。輝度を高めるにはカラーフィルタを薄くして透過性を向上させますが、それだけでは鮮やかな色や臨場感は得られません。どうすれば高輝度で色鮮やかなディスプレイを作れるのか、多くのデバイスメーカーが知恵を絞る中で、DICが出した答えは新たな顔料の開発でした。

印刷インキで培ったベーステクノロジーを高機能顔料に展開・応用し、世界のデファクト・スタンダードに
カラーフィルタ用顔料の輝度やコントラスト比によって画質は大きく異なる(左:高輝度&ハイコントラスト、右:低輝度&ローコントラスト)

印刷インキで培ったベーステクノロジーを高機能顔料に展開・応用し、世界のデファクト・スタンダードに


特にスマートフォン業界で好評の新グリーン顔料「G59」の化学構造

従来、グリーン顔料は、銅を中心材料として使うのが常識でしたが、DICはより優れた特性を得るため中心材料の変更に挑戦。膨大な候補物質のトライ&エラーを繰り返しながら亜鉛にたどり着きました。そして、光を効率良く透過させるため粒子を細かくしてコントラスト比を従来品より大幅に高め、光量が少なくても明るく鮮明な画像の再現に成功。こうして誕生した新グリーン顔料「G58シリーズ」は、世界を驚嘆させました。
また、ブルー顔料においても高度な分子設計を駆使し、高い着色力とともに粒形を精緻にコントロール。さらに粒子に特殊な表面処理を施し、優れた分散安定性によって輝度とコントラストの絶妙なバランスを実現した「Aシリーズ」を開発。その光学特性がスマートフォン業界で反響を呼び、ブルー顔料の主流となったのです。
このように画期的な機能性顔料を次々に送り出せる背景には、色材メーカーとして培った多領域のテクノロジーの集積、DIC総合研究所における横断的な開発体制、さらにラボ段階で発現させた特性をプラントで量産できる製造技術が一体的に機能しているからです。

KEY PERSON of DIC

顔料製品本部 顔料営業2グループ マネジャー  秋山 直十

製品戦略から販路拡大までグローバルネットワークをフル活用

機能性顔料~カラーフィルタ(液晶パネル)のバリューチェーンは、顔料メーカー⇒顔料分散体メーカー⇒レジストインクメーカー⇒カラーフィルタメーカー⇒液晶パネルメーカーという構図です。DICでは、カラーフィルタ用顔料の開発にあたって、液晶パネルメーカーから最新のトレンド情報を収集し、次世代の製品戦略に活用しています。
また、顔料分散体~液晶パネルの生産は、東アジアに集積されており、特に近年は中国の成長が著しく、液晶パネル生産は韓国を抜いて世界トップになろうとしています。DICグループではグローバルネットワークをフル活用して現地子会社とも密に連携し、DIC製品のさらなる採用増につなげています。

顔料製品本部 顔料営業2グループ マネジャー  秋山 直十

総合研究所 精密合成第一技術本部 精密合成技術5グループ  坂本 圭亮

伸びしろの大きいカラーフィルタ用顔料で新たな光学特性に挑戦

私は入社以来、一貫してグリーン顔料の開発に携わっています。市場で高いシェアを獲得している「G58」と「G59」の化学構造は非常に複雑ですが、一部をアレンジするだけで光学特性は劇的に変化します。それだけに、まだまだ伸びしろは大きく、改良を重ねるごとに機能性顔料として無限の可能性を感じています。
また、光源であるバックライトがLED ⇒有機EL⇒量子ドット(超微細の半導体)と進化するごとに顔料に求められる性能も変わりますが、DIC総合研究所では分子設計・分析・シミュレーションなど専門グループが横断的に連携し、企画から製品化に至るまでのスピードアップを図っています。

総合研究所 精密合成第一技術本部 精密合成技術5グループ  坂本 圭亮

TOPICS グローバルニーズに応え、ブルー顔料の生産能力を増強


カラーフィルタ用ブルー顔料の生産能力を増強する鹿島工場

2021年までに売上高を現在の1.5倍に

DICは、2017年6月、鹿島工場(茨城県神栖市)におけるカラーフィルタ用ブルー顔料の生産設備を増設し、2021年までに生産能力を1.5倍に引き上げる計画を発表しました。
ディスプレイ市場は、新興国の経済成長による需要の増大とパネルの大型化による顔料使用量の増加で、2025年までは年率3.5%程度成長すると見込んでいます。その中で当社のブルー顔料は、Aシリーズを市場に投入以来、需要が急伸し、採用件数の増加が続いています。
そのため供給能力を高めることで、既にデファクト・スタンダードとなっているグリーン顔料と同様に、ブルー顔料もグローバルリーダーの地位を磐石とし、売上高を2021年までに2016年比1.5倍を目指します。

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