カラーサイエンス領域
近赤外線コントロール黒顔料は、
「黒」でありながらも熱くなりにくい顔料。
塗料の原料として使用することで、
エアコンの使用率を下げ、省エネを実現。
また、自動車のセンシング精度を高め、
安全な自動運転への貢献が期待されています。
しかも、深みのある上質な漆黒の色を実現。
機能性と審美性を高いレベルで両立します。
あなたの願い
黒い顔料の多くはカーボンブラックと呼ばれる主に炭素を主原料とする物質が使用されており、光も熱も吸収しやすいという弱点があります。一方、近赤外線コントロール黒顔料は、分子内の電子が共有されており、赤外線を反射するため、黒色でも光を吸収しにくく、熱くなりにくいという特徴があります。
DICが開発した近赤外線コントロール黒顔料は、これまでカーボンブラック以外では難しいとされてきた深みのある黒やメタリックグレーなどの色も表現することに成功し、「黒らしい黒」を実現。自動車をはじめ、住宅、公共施設などの塗装、プラスチックやレザー素材など様々な用途で「熱くなりにくい黒」として採用が進んでいます。
自動車や住宅の多くでは、塗料によってさらに遮熱効果を高めエアコン使用量を節約することができます。昨今、素材の軽量化やテクノロジーの進化でどんどん燃費向上が進むエコカー。車内の温度も燃費も気にせず誰しもが快適なカーライフを過ごせる未来がくるかも!
社会の願い
昨今、安全で正確な自動運転を実現するためにLiDAR(ライダー)というセンシング技術が注目されていますが、カーボンブラックで塗装された黒い車は光を吸収するためセンシングされにくいという課題があります。しかし、近赤外線コントロール黒顔料は近赤外線の吸収を抑え、LiDARで検知しやすくすることができます。
DICの近赤外線コントロール黒顔料は、自動車の塗装として必要な漆黒性も有し、機能性と審美性を高いレベルで両立しています。LiDARのセンシング技術による車間距離や障害物検知の制度を高め、自動運転を支えるテクノロジーとして活躍が期待されています。
近赤外線コントロール黒顔料の採用が進むことで、自動運転車が車間距離や障害物との位置関係をより正確に把握できるようになれば、いつか運転手が不在の車でも安全な乗り物として広く社会に普及し、誰しもが安心して利用できる未来がくるかも!
地球の願い
プラスチックのリサイクルにおいても、カーボンブラックで着色されたプラスチックは近赤外線を吸収するため選別されにくいという問題があります。しかし、近赤外線コントロール黒顔料はカーボンブラックに比べて非常に高い近赤外線の反射率を持つため、黒いプラスチックボトルや食品トレーなどの回収品もプラスチックの種類の識別が可能です。
近赤外線コントロール黒顔料を用いたプラスチック容器なら、近赤外線を用いた自動選別機でも正しくポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックの種類を選別することができます。分別リサイクルがはかどり、焼却処分となってしまうプラスチックごみを減らすことが可能になります。
近赤外線コントロール黒顔料がより正確なプラスチックの自動選別システムの普及を素材の面から後押しすることで、プラスチックの100%リサイクルを実現できる未来がくるかも!
世界の60を超える国と地域でグローバルに事業を展開する化学メーカー、DIC(ディーアイシー)。印刷インキや有機顔料、機能性樹脂のリーディングカンパニーとして、人々の生活の様々なシーンに「彩り」と「快適」を提供しています。私たちは化学の領域にとどまらない価値の創造に挑戦し、人と地球の未来をより良いものにしていくことを目指します。