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グラビア印刷とは?仕組みや特徴、フレキソ印刷との違いを解説

フィルム・軟包装 印刷・インキ
グラビア印刷の仕組みや特徴、フレキソ印刷との違いを解説するイメージ

グラビア印刷は日本で長年にわたり、食品や日用品のパッケージ、壁紙に至るまで幅広い用途で使われており、包装・軟包装分野における主な印刷方式として定着してきました。ただ、近年はフレキソ印刷への切り替えを検討する企業も増えています。フレキソ印刷とはどのような点が異なるのでしょうか?

この記事では、グラビア印刷の仕組みと特徴のほか、フレキソ印刷との違いについて解説します。

グラビア印刷とは版胴の凹部に満たしたインキを転写する凹版印刷の一種

グラビア印刷とは、シリンダー(版胴)の表面に微細なセル(凹部)を彫刻し、そのセルにインキを満たした上で、フィルムや紙などに転写する印刷方式のことです。「グラビア(gravure)」はフランス語で「彫刻」を意味し、版面に刻まれた凹部の深さで、インキの量をコントロールします。

グラビア印刷は、耐久性に優れた版胴を用いるため、大量・高速印刷に適した印刷方式です。版胴に形成された微細なセル(凹部)の容積や面積を変化させることでインキ転移量を制御し、濃淡の微妙な変化や写真調の連続階調、グラデーションを高精度に再現できます。この優れた階調再現性から、軟包装をはじめとする高品質なパッケージ印刷に広く採用されています。

グラビア印刷の仕組み

グラビア印刷は、大きく分けて3つの工程で行われます。

グラビア印刷の仕組み。インキパンからアニロックスロールが拾い上げたインキをドクターブレードで計量し、版胴(グラビアシリンダー)のセルに満たしたインキが圧胴の圧力で原反へ転写される流れを示す図。

最初に、インキパンに満たされたインキを、版胴が回転しながら拾い上げます。続いて、版胴表面に密着したドクターブレードが、セル以外に付着した余分なインキを掻き落とします。最後に、セルの中に残ったインキは圧胴(インプレッションロール)による圧力でフィルムや紙などの基材へ転写され、印刷は完了です。

グラビア印刷が使われる主な包装・用途

グラビア印刷は、豊かな階調表現と大ロット印刷への対応力から、次のような包装・用途で幅広く採用されています

グラビア印刷が使われる主な包装・用途
包装の種類 具体的な用途 特徴
食品・日用品の軟包装、ラベル 菓子袋、レトルトパウチ、詰め替えパウチ、ペットボトルラベルなど 写真やグラデーションを用いたデザインの再現性に優れ、大ロット生産に適する
紙器・たばこ外装 紙器、たばこパッケージなど 高精細な絵柄や色彩を安定して再現しやすい
医薬品包装 PTP包装用アルミ箔(錠剤・カプセルなどの包装)など アルミ箔への印刷に対応し、医薬品名や識別情報を安定して表示できる
壁紙・化粧建材 木目調・石目調の壁紙、化粧シートなど 繊細な模様や連続柄、自然な階調を再現しやすい

グラビア印刷の特徴

グラビア印刷には、ほかの印刷方式にはない独自の強みがある一方で、課題もあります。ここでは、グラビア印刷の特徴について解説します。

<グラビア印刷の特徴>
  • 写真調の緻密な階調表現ができる
  • 大ロット・高速印刷でコストメリットが出る
  • 溶剤インキ使用によるVOC排出が課題

写真調の緻密な階調表現ができる

グラビア印刷はその特徴として、写真調の階調表現や色の再現性に優れていることが挙げられます。これは、セルの深さによって濃淡を精緻にコントロールできるのが理由です。

写真やグラデーションを多用するデザインとの相性が良いグラビア印刷は、高級感のあるパッケージなどにも適しています。

大ロット・高速印刷でコストメリットが出る

グラビア印刷は版の耐久性が高いため、大部数の連続印刷にも耐えられるのも特徴といえます。ロット(同じ条件でまとめた数量の最小単位)が大きくなるほど、版代を含めた1個あたりの印刷コストが抑えられることから、コストを重視した大量印刷に向いているといえるでしょう。

印刷機によっては毎分400メートル前後の印刷にも対応可能で、大量生産における高い生産性に貢献します。

溶剤インキ使用によるVOC排出が課題

グラビア印刷において主流の溶剤型グラビアインキは、エステル系溶剤、アルコール系溶剤といったVOC(揮発性有機化合物)の排出量が多くなる傾向があります。これらの有機溶剤は、大気汚染や健康被害の影響が懸念されるため、対応は業界共通の課題であり、VOC排出規制にも対応が求められているところです。

近年は低VOC化を進めたグラビアインキの開発が進んでおり、同時にフレキソ印刷への移行が進んでいます。フレキソ印刷について、詳しくは後述します。

グラビア印刷とフレキソ印刷の違い

VOCの排出規制強化を背景に、日本でも長く主流だったグラビア印刷から、フレキソ印刷への移行が進んでいます。両者の違いは、下記のとおりです。

グラビア印刷とフレキソ印刷の比較
項目 グラビア印刷 フレキソ印刷
版の種類 シリンダー(凹版彫刻) 樹脂凸版
版材コスト 初期版は高め(版寿命長い) 低め(版寿命短い)
インキ種類 溶剤・水性 水性・溶剤・UV(EB)
VOC排出量 溶剤型は多い 水性化により極めて少ない
印刷速度 溶剤型:分速400m前後 ・溶剤型:分速600mまで
・水性型:分速300mまで
対応基材 フィルム・紙 フィルム・紙・厚紙・段ボール・布など多様
印刷品質 階調豊かで高品質 技術向上でさらに高精細化
環境負荷 溶剤インキの排出が課題 水性化で大幅低減
主な用途 レトルトパウチ、詰め替え包装、ラベル、紙器、建材系等の広範囲 段ボール・軟包装・紙器・ラベル

実務での使い分け例として、写真調の高精細な軟包装デザインや大ロットの日用品パッケージにはグラビア印刷が使用され、一方で環境対応(VOC削減)や多品種・小ロット生産を重視する現場では、フレキソ印刷が選ばれる傾向があります

フレキソ印刷について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
フレキソ印刷とは?仕組みやグラビア印刷との違い、メリットを解説

環境負荷低減に向けたグラビア印刷の取り組み

グラビア印刷では、印刷品質や生産性に加え、パッケージ全体の環境負荷を低減するための取り組みも進められています。例えば、インキに使用する原料を見直し、バイオマス由来原料を活用することや、リサイクル工程への影響に配慮したインキを選定することが挙げられます。

<環境負荷低減に向けたグラビア印刷の取り組み>
  • バイオマス原料を活用したグラビアインキ
  • リサイクル性に配慮したPVCフリーインキ「SHIOLESS®」

バイオマス原料を活用したグラビアインキ

バイオマスインキは、植物由来などのバイオマス原料をインキの一部に使用した製品です。石油由来原料の使用量削減に貢献できるため、パッケージの環境配慮を進める選択肢の一つとして活用されています。

DICでは、裏刷り用グラビアインキ「フィナート®BM」や表刷り用グラビアインキ「グロッサ®BM」などを展開しています。用途や求める印刷・加工適性に応じて、適切な製品を選定することが重要です。

リサイクル性に配慮したPVCフリーインキ「SHIOLESS®」

パッケージのマテリアルリサイクルでは、フィルムだけでなく、印刷インキなどの構成材料も再生材の品質に影響する場合があります。

DICの「SHIOLESS®」は、塩素系樹脂を使用しないPVCフリー設計のラミネート用グラビアインキです。リサイクル工程における再生材の変色や品質低下に配慮しており、ポリオレフィン系モノマテリアル包装など、リサイクル性を意識したパッケージ設計への活用が期待されます。

グラビアインキに関するご相談はDICへ

DICでは、裏刷り用グラビアインキ「フィナートⓇ」や表刷り用グラビアインキ「グロッサⓇ」をはじめ、用途や包装構成に応じた幅広いラインナップを取り揃えています。印刷品質や加工適性、フィルムや紙などの基材との相性を踏まえたインキ選定についてもご提案します。グラビアインキに関するご相談は、ぜひDICまでお問い合わせください。
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よくある質問

グラビア印刷とは何ですか?

グラビア印刷とは、「版胴」と呼ばれるシリンダーに彫った微細なセル(凹部)にインキを満たし、フィルムや紙などの基材に転写する凹版印刷方式です。写真やグラデーションなどの階調表現に適しており、食品や日用品などのパッケージ印刷に広く用いられています。

グラビア印刷とフレキソ印刷の違いは?

グラビア印刷とフレキソ印刷は、主に使用する版やインキの転写方法などに違いがあります。グラビア印刷は、版の凹部に入ったインキを基材に転写する凹版印刷で、写真やグラデーションなどの階調表現に適しています。一方、フレキソ印刷は、柔軟な樹脂製などの凸版にインキを付けて基材へ転写する凸版印刷です。いずれもパッケージ印刷に広く用いられていますが、求められる印刷品質や基材、印刷条件などに応じて使い分けられています。

グラビア印刷のメリットとデメリットは?

グラビア印刷は、写真やグラデーションなどの階調表現に適しており、版の耐久性が高いため大ロット印刷にも適しています。一方、版の製作にコストや時間がかかるため、小ロットやデザイン変更が多い場合には負担が大きくなることがあります。

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