ガスバリア性とは?酸素・水蒸気に対するバリア性や評価方法を解説
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ガスバリア性とは、酸素や水蒸気などを透過させにくい性質のことです。内容物の酸化や吸湿・乾燥などによる品質変化を抑え、賞味期限の延長や風味の維持に寄与するため、パッケージ素材を選定するうえで重要な性能のひとつです。
この記事では、酸素バリア性・水蒸気バリア性を中心に、ガスバリア性の役割やメリットについて紹介。また、パッケージへの付与方法や評価方法について解説します。
ガスバリア性の種類と仕組み
パッケージに求められる代表的なガスバリア性能には、酸素の透過を抑える「酸素バリア性」と、水蒸気の透過を抑える「水蒸気バリア性」があります。素材によって酸素・水蒸気に対するバリア性能は異なり、単一の素材で両方に対して高いバリア性を持たせることは容易ではありません。そのため、パッケージでは、求められる性能に応じて、アルミ箔やバリア性の高い樹脂、金属酸化物の蒸着、コーティングなどを組み合わせてバリア層を形成し、必要なガスバリア性を持たせています。
ガスバリア性は、外部から内部への酸素や水蒸気の侵入を抑えるだけでなく、内容物に含まれる水分がパッケージの内側から外側へ透過して失われることを抑える役割もあります。例えば、乾燥食品では水分が抜けることで、品質が低下する場合があります。
また、内容物によっては、香気成分が外へ逃げることを抑える「保香性」も重要です。こうしたガスバリア性が求められるパッケージは、スナック菓子やレトルト食品、コーヒーなどの食品をはじめ、医薬品や電子部品などの精密工業製品の包装にも幅広く使用されています。
ガスバリア性の役割とメリット
ガスバリア性にはどのような役割があり、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ガスバリア性の役割とメリットについて解説します。
酸化による品質劣化を抑える
ガスバリア性には、酸化による品質劣化を抑える役割があります。これは、主に酸素バリア性が関わる役割です。酸素の透過を抑えることで、油脂の酸化による変色や、風味の劣化などを抑えることができます。
特に油分を多く含むナッツ類やスナック類、コーヒーなどは酸化による劣化が早いため、酸素バリア性の高いパッケージが重視されるのです。
吸湿・乾燥による品質変化を抑える
吸湿・乾燥による品質変化を抑えるのは、主に水蒸気バリア性が関わる役割です。乾燥食品が湿気を吸うことによる食感の変化(サクサク感の低下など)や、逆に食品からの水分蒸散による乾燥・硬化を抑えることが可能です。これらは、スナック菓子や乾物、粉末食品など、水分量の変化が品質に直結する食品において重要な機能といえるでしょう。
内容物によっては、香気成分の透過・移行への配慮も必要になります。香りの良さが商品価値に直結するコーヒーや香辛料などでは「アロマバリア性(保香性)」も、酸素バリア性や水蒸気バリア性とあわせて検討される要素のひとつです。これにより、香気成分がパッケージの外に逃げてしまう、あるいは外部のにおいが内容物に移ってしまうことを防ぎます。
| 対象 | バリア性能 | 主な役割 | 内容物の例 |
|---|---|---|---|
| 酸素 | 酸素バリア性 | 酸素の透過を抑え、酸化による変色や風味の劣化などを抑える | ナッツ、アーモンドなど油脂を含む食品、スナック菓子など |
| 水蒸気 | 水蒸気バリア性 | 水蒸気の透過を抑え、吸湿・乾燥・食感の変化などを抑える | スナック菓子、乾燥食品、洗剤(粉体)衛生製品など |
| 香気成分 | 保香性・アロマバリア性 | 香気成分の透過・移行を抑え、香りや風味の保持に寄与する | コーヒー豆類、香辛料、洗剤、柔軟剤、芳香剤など |
パッケージにガスバリア性を付与する主な方法
ガスバリア性を付与する方法にはいくつかの種類があり、求められる性能やコスト、透明性の有無などに応じて使い分けられています。ここではパッケージにガスバリア性を付与する主な方法を紹介します。
バリア性を持つ素材を使用する
バリア性の高い素材にはいくつかの種類があり、それぞれ酸素・水蒸気に対する性能の傾向が異なります。素材の特徴は、下記のとおりです。
| 素材 | 特徴 |
|---|---|
| アルミ箔 | 非常に高いバリア性を持つ素材。パッケージにラミネートすることで高いバリア性を実現できる |
| EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)を用いた多層フィルム | 非常に高い酸素バリア性を持つ樹脂。吸湿すると酸素バリア性が低下するという特性がある |
| PVDCフィルム | 酸素バリア性・水蒸気バリア性の両方に優れ、湿度による性能変化が少ない |
| バリアナイロン | ナイロン樹脂にガスバリア性を高める素材を配合・積層したフィルム。突き刺し強度や耐衝撃性、耐寒性に優れる |
アルミ箔は光・酸素・水蒸気をほぼ完全に遮断できる一方で、中身が見えなかったり、電子レンジでの使用や金属探知機による検査への対応が難しかったりする制約があります。また、EVOHは単体で使われることは少なく、水蒸気を通しにくいポリエチレンなどのフィルムと組み合わせた多層構成にすることで、湿度の影響を受けにくくしながら高い酸素バリア性を発揮させています。
蒸着によってバリア性を付与する
蒸着は、フィルムの表面に薄い膜を形成することでバリア性を付与する方法です。
アルミ蒸着フィルムは、真空状態でアルミニウムを加熱・気化させ、フィルム表面に薄い金属膜を形成したものです。アルミ箔よりも安価かつ軽量でありながら高いガスバリア性、保香性、遮光性を持つため、スナック菓子などに広く使用されています。ただし、アルミ箔と同様に中身は見えません。
透明蒸着フィルムは、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどをフィルム表面に蒸着したもので、透明性を保ちながら高いガスバリア性を実現できます。中身が見える、電子レンジや金属探知機に対応できるといった利点から、アルミ蒸着フィルムの代替として採用されるようになってきています。
コーティングによってバリア性を付与する
コーティングは、基材フィルムの表面にバリア性を持つ樹脂の薄膜を形成する方法です。
PVDCコーティングは、OPP(延伸ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などの基材フィルムにポリ塩化ビニリデン樹脂をコーティングしており「Kコート」とも呼ばれているものです。ガスバリア性と防湿性の両方に優れていますが、燃焼時に塩素系ガスが発生する点から、近年は代替素材への切り替えも進んでいます。
PVOH(ポリビニルアルコール)コーティングは、水溶性樹脂であるPVOHを基材フィルムにコーティングする方法です。塩素を含まないため燃焼時に塩素系ガスが発生せず、環境配慮の観点からPVDCコーティングの代替として採用が広がっています。一方で、PVOHは水に溶ける性質上、高湿度下ではバリア性が低下しやすいため、用途や保管環境に応じた検討が必要です。
ガスバリア性の評価方法
ガスバリア性は、包装材料を一定時間にどの程度の酸素や水蒸気が透過するかを測定して評価します。代表的な評価指標として、酸素透過度(OTR)と水蒸気透過度(WVTR)があります。
酸素透過度(OTR)
OTR(Oxygen Transmission Rate)とは、一定条件下で、一定面積のフィルムを一定時間に透過する酸素量を示す指標です。数値が小さいほど酸素を通しにくく、酸素バリア性が高いことを意味します。
単位は一般に、フィルム1平方メートルあたり・1日あたりに透過する酸素の体積(cc/m²・day)で表されます。数値を見る際は、面積・時間あたりの透過量を示していることを押さえておくと理解しやすいでしょう。
水蒸気透過度(WVTR)
WVTR(Water Vapor Transmission Rate)とは、一定条件下で、一定面積のフィルムを一定時間に透過する水蒸気量を示す指標です。OTRと同様に、数値が小さいほど水蒸気を通しにくく、水蒸気バリア性が高いことを意味します。
単位は一般に、フィルム1平方メートルあたり・1日あたりに透過する水蒸気の質量(g/m²・day)で表されます。
バリア性能を比較するときの注意点
カタログなどに記載されているOTR・WVTRの数値を見る際は、単純に数値だけを比較するのではなく、測定温度・湿度、フィルムの厚みや構成、測定方法・条件などを確認する必要があります。
具体的には、次の2点を意識するとよいでしょう。
- 測定条件を揃えて比較する
- 実際の使用環境を考慮する
OTR・WVTRは温度・湿度などの測定条件によって値が変わるため、異なる条件で測定された数値を単純に比較しないようにしてください。また、材料のバリア性能は温度・湿度の影響を受ける場合があり、実際の保存・流通環境を想定した条件で性能を確認することがポイントです。
パッケージのガスバリア性に関するご相談はDICへ
ガスバリア性は、食品・医薬品・工業製品など、内容物の品質を保持するために幅広いパッケージで求められる性能です。用途や内容物によって必要なバリア性能は異なるため、求められる性能に応じて適切な素材や付与方法を選択することが重要です。
DICでは、コーティングや接着剤などの技術を活用し、パッケージの構成や用途に応じたガスバリアソリューションを提案しています。酸素バリア接着剤「PASLIM®」や酸素バリアコーティング剤、保香フィルム「DIFAREN® MPシリーズ」など、幅広い製品を展開しています。また、プラスチックフィルムの使用量削減やモノマテリアル化など、サステナブルなパッケージ設計にも対応しています。ガスバリア性と環境対応の両立についてお悩みのご担当者さまは、ぜひDICにご相談ください。
よくある質問
ガスバリア性とは何ですか?
ガスバリア性とは、酸素や水蒸気などを透過させにくい性質のことです。プラスチックパッケージでは、代表的な性能として酸素バリア性や水蒸気バリア性などがあり、内容物の品質保持に重要な役割を果たします。
酸素バリア性と水蒸気バリア性の違いは何ですか?
酸素バリア性は、酸素の透過を抑える性能で、食品の酸化による変色や風味の劣化などを抑える役割があります。一方、水蒸気バリア性は、水蒸気の透過を抑える性能で、食品の吸湿・乾燥による品質変化や、粉末洗剤の固結などを抑える役割があります。
ガスバリア性はどのように評価しますか?
ガスバリア性は、酸素透過度(OTR)や水蒸気透過度(WVTR)などの指標を用いて評価します。いずれも数値が小さいほど、酸素や水蒸気を透過させにくく、バリア性が高いことを示します。ただし、測定温度や湿度などの条件によって値が変わるため、数値を比較する際は測定条件を確認することが重要です。
