ヒートシールとは?仕組みと主な方式、シール不良の原因を解説
フィルム・軟包装
ヒートシールとは、熱可塑性樹脂層を熱と圧力で溶かして接着し、密封する技術です。熱可塑性樹脂を使用したシーラント層を熱で溶融・圧着して袋状のパッケージを密封できるため、食品・日用品・医薬品など幅広い包装分野で使われています。
この記事では、ヒートシールの仕組みと使われる主な製袋形態のほか、方式の種類と起こりやすいシール不良について解説。そして環境配慮型パッケージのポイントについてご紹介します。
ヒートシールとは熱可塑性樹脂層を熱と圧力で溶かして接着する密封技術
ヒートシールとは、フィルムなどに設けられた熱可塑性樹脂のシーラント層を加熱して軟化・溶融させ、圧力を加えて接合する技術です。PE(ポリエチレン)やCPP(無延伸ポリプロピレン)など、比較的低温で溶融するシーラント層をもつフィルムに対して、ヒートシールは用いられます。
ヒートシールは、シールバーの温度を一定に保てば連続して高速加工が可能なため、量産ラインで幅広く採用されているのが特徴です。
ヒートシールの仕組み
ヒートシールでは、まず、シールバー(熱板)を一定の温度まで加熱します。次に、フィルムの封緘部(ふうかんぶ)をシールバーで挟み込み、一定の圧力を一定時間加えます。その熱によってシーラント層が軟化・溶融し、冷却・固化することで接合部が形成されます。
ヒートシールの品質は、主に温度・圧力・時間の3つの条件によって左右されます。これらの条件がフィルムの材質や構成に合っていない場合、十分なシール強度が得られず、シール不良につながることがあります。
また、ヒートシールには、加熱によって軟化・溶融するシーラント層が必要です。PEやCPPなどはシーラント層として広く用いられています。一方、OPP(延伸ポリプロピレン)やアルミ箔、紙など、単体では十分なヒートシール性をもたない基材には、ヒートシール剤を塗工してシール性を付与する方法があります。
ヒートシールが使われる主な製袋・包装形態
ヒートシールは、フィルムを袋状に加工したり、内容物を充填した後に開口部を封緘したりする際に幅広く使われています。代表的な製袋・包装形態として、次のようなものがあります。
- 三方シール袋
- 四方シール袋
- ピロー包装
- ガゼット袋
- スタンド袋
三方シール袋
三方シール袋とは、2枚のフィルムを重ね合わせる、または1枚のフィルムを二つ折りにして、底部と左右の3辺をヒートシールする製袋形態です。構造が比較的シンプルで、食品をはじめとするさまざまなパウチ包装に広く用いられています。
四方シール袋
四方シール袋とは、2枚のフィルムを重ね合わせ、周囲4辺をヒートシールして密封する製袋形態です。内容物を四方から包む形になるため、食品や医薬品など、さまざまな包装に用いられています。
ピロー包装
ピロー包装とは、1枚のフィルムを筒状に成形し、背面をシールしたうえで、内容物の前後を横方向にヒートシールする包装形態です。包装後の形が枕(ピロー)のようになることからこの名称で呼ばれ、スナック菓子をはじめとする食品包装に広く用いられています。
ガゼット袋
ガゼット袋とは、袋の側面などに「マチ」と呼ばれる折り込みを設けた製袋形態です。
マチが広がることで内容物を入れやすく、平袋よりも容量を確保しやすいため、食品や日用品など幅広い用途に用いられています。
スタンド袋
スタンド袋とは、袋の底部にマチを設けるなどして、内容物を入れた状態で自立できるようにした製袋形態です。店頭で立てて陳列しやすく、食品や飲料、日用品など幅広いパッケージに用いられています。
ヒートシールの特徴
ヒートシールには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ヒートシールの特徴について解説します。
- 連続包装や内容物の密封に広く使われる
- 材質・構成・条件設定によってシール適性が変わる
連続包装や内容物の密封に広く使われる
ヒートシールは、シールバーを一定温度に保つことで、連続して高速加工しやすい特徴があります。また、ヒートシールによって袋の開口部を密封することで、内容物の漏れや外部からの異物の侵入を抑えることができます。そのため、食品パウチやスナック菓子袋のほか、日用品や医薬品など、さまざまな包装に広く採用されています。
材質・構成・条件設定によってシール適性が変わる
同じヒートシールという技術でも、フィルムの材質・層構成、そしてシールバーの温度・圧力・時間といった条件設定によって、実現できるシール強度や仕上がりが大きく変わるのも特徴です。
異物(内容物の粉末や液体など)がシール部に挟まらないようにする充填工程側の管理、シールバーの温度ムラをなくす保守管理なども、安定したシール品質を保つうえで欠かせない要素といえるでしょう。
ヒートシールにおけるシール不良の原因
ヒートシールでは、材料や加工条件、包装時の状態によってシール不良が生じることがあります。ここでは、主な原因を3つに分けて解説します。
- 温度・圧力・時間などのシール条件が適切でない
- シール部に内容物や異物が入り込む
- フィルムにしわや位置ずれが生じる
温度・圧力・時間などのシール条件が適切でない
ヒートシールでは、温度・圧力・時間のバランスがシール品質を左右します。条件が不足すると十分なシール強度が得られない場合があり、反対に温度が高すぎると、フィルムの収縮や変形を招くことがあります。安定したシール品質を確保するためには、使用するフィルムの材質や構成に応じて、各条件を適切に設定することが重要です。
シール部に内容物や異物が入り込む
シール部に内容物の粉末や液体、ほこりなどが入り込むと、フィルム同士が十分に密着せず、シール不良につながる場合があります。このような状態は「かみ込み」と呼ばれることもあります。シール不良を防ぐには、充填位置や内容物の付着状態に配慮するとともに、シール部を清潔に保つことが重要です。
フィルムにしわや位置ずれが生じる
フィルムの搬送やテンションが安定していない場合、シール部にしわや折れ込みが生じ、均一に圧力がかからないことがあります。その結果、部分的な未接着や密封性の低下につながる場合があります。安定したシールを行うためには、フィルムの搬送状態や位置、テンションを適切に管理することが重要です。
環境配慮型パッケージにおけるヒートシール設計
環境配慮型パッケージでは、素材や構成に応じたヒートシール設計が重要です。ここでは、モノマテリアル化と紙化におけるヒートシール設計のポイントを解説します。
- モノマテリアル化では耐熱性と低温シール性の両立が重要
- 紙化ではヒートシール性を付与する必要がある
PE、PP等のモノマテリアル化では耐熱性と低温シール性の両立が重要
モノマテリアル(単一素材)パッケージでは、同一素材系で構成しながら、ヒートシールに必要なシール性と加工時の耐熱性を両立することが重要です。
例えば、シーラント層には低温で安定してシールできる性能が求められます。表基材であるOPPやBOPEフィルムはポリエステル(PET)フィルムやポリアミド(ナイロン)フィルムと比較すると耐熱性が劣るため、表基材にはシール時の熱による収縮や変形を抑える性能が求められます。そのため、フィルム構成やシール条件、必要に応じてコーティング剤なども含め、パッケージ全体で設計することが重要です。
紙化ではヒートシール性を付与する必要がある
紙を主体としたパッケージでは、袋状に密封する用途などにおいて、ヒートシール性を付与する必要があります。紙単体には熱で溶融する樹脂層がないため、そのままではヒートシール加工ができません。
食品・日用品などの紙パッケージでは、紙の内面にヒートシール剤を塗工し、必要なシール性を付与することで、袋状のパッケージへの加工を可能にする方法が用いられています。
紙化について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
紙化とは?パッケージのメリットと課題、実現方法を解説
ヒートシールのことならDICへご相談ください
ヒートシールの品質は、フィルムの材質や構成、シール条件に加え、シーラント層やコーティング剤など、使用する材料によっても左右されます。そのため、用途や求められる性能に応じて、パッケージ全体で適切な材料を選定することが重要です。
DICでは、低温でのヒートシールや、各種基材へのシール性付与に対応するヒートシール剤を展開しています。また、PE系フィルムの熱収縮抑制に寄与する耐熱コーティング剤や、CPP系のシーラントフィルムなど、ヒートシールに関する材料も取り扱っています。
用途やパッケージ構成に応じた材料選定をご検討の際は、ぜひDICにご相談ください。
パッケージの機能性向上 機能性コーティング剤・ヒートシール剤
よくある質問
ヒートシールとは?
ヒートシールとは、フィルムなどに設けられた熱可塑性樹脂のシーラント層を加熱して軟化・溶融させ、圧力を加えて接合する技術です。食品や日用品、医薬品など、さまざまな包装の製袋や密封に用いられています。
ヒートシールはどのような包装に使われますか?
ヒートシールは、三方シール袋や四方シール袋、ピロー包装、ガゼット袋、スタンド袋など、さまざまな製袋・包装形態で用いられています。食品や日用品、医薬品など幅広い分野で活用されています。
ヒートシールでシール不良が起きる主な原因は?
ヒートシールのシール不良は、温度・圧力・時間などのシール条件が適切でないこと、シール部への内容物や異物の入り込み、フィルムのしわや位置ずれなどによって生じる場合があります。使用するフィルムの材質や構成に応じた条件設定や、シール部・フィルム搬送状態の適切な管理が重要です。
