特集泡消火薬剤「メガフォーム」

危険物火災をすばやく鎮火して被害を最小限に

ひとたび発生すれば甚大な影響を及ぼす危険物施設の火災

泡消火薬剤「メガフォーム」

危険物施設における火災事故件数の推移
危険物施設における火災事故件数の推移

石油コンビナートや化学工場などに代表される様々な危険物施設(消防法で指定)で火災事故が発生すると、影響は広範囲に及びます。人的被害をはじめ機械設備・原材料・製品などの損失、環境負荷物質の拡散、生産停止に伴うサプライチェーンへの供給の滞りも懸念され、一刻も早い消火が求められます。

残念ながら日本における危険物施設の火災事故は、様々な要因で1994年から増加傾向にあり、最近5年間でも高止まり状態にあります(総務省 消防庁調べ)。

一般的な建造物火災と異なり、化学品の火災(ガソリン類に代表される非水溶性危険物、アルコール類の水溶性危険物など)は水だけでは消火できず、泡消火薬剤を淡水や海水と混合し発泡させた泡で燃焼面を覆い、空気との接触を遮断しながら冷却して鎮火させます。この時、泡が火の熱に破壊されることなく、すばやく燃焼面を覆う必要があり、泡には化学品の特性に対応できる消火性能が要求されます。

優れた消火性能で国内トップシェアの実績

DICの取り組み

環境負荷物質削減

安全・安全

多様な危険物に対応する泡消火薬剤を開発

耐アルコール型“ゲル泡”構造
耐アルコール型“ゲル泡”構造

泡消火剤の働き
泡消火剤の働き

DICは、フッ素系界面活性剤の設計・配合技術を活かし、1982年に国産初の水成膜泡消火薬剤「メガフォーム」を開発しました。界面活性剤は2つの異なった性質(親水性・親油性)を持つ物質の境界面に働きかけ、その性質を変えることができ、身近なものでは石鹸やシャンプーなどが知られています。

界面活性剤水溶液の薄い膜は、表面張力が低く、膜ができやすく破れにくいという「起泡作用」があり、泡消火薬剤はこの性質を利用したものです。

「メガフォーム」は発売以来、圧倒的な消火能力が高く評価され、自衛隊をはじめ消防機関・空港施設・危険物取扱事業所、トンネル施設や地下駐車場などに設置されました。特に法改正によって直径34m以上の浮き屋根式タンクを有する企業・地域に大容量泡放水砲システムの設置が義務づけられてから、「メガフォーム」は全国のコンビナートや消防機関などでの採用が加速し、国内トップシェアの実績を誇っています。

アルコールなどの水溶性危険物に対応できる泡を

ガソリンなどの非水溶性危険物に比べて、アルコール類・ケトン類・エステル類・アミン類に代表される水溶性危険物は、消火用の泡がこれらと反応し溶解してしまうため消火が困難でした。そこで、DICでは1980 年代半ば、高分子ゲル生成技術を活用した強靭な泡構造を開発。水溶性危険物の燃焼面でも泡が破壊されず優れた消火性能を発揮する「耐アルコール型メガフォーム」を発売しました。

この消火薬剤は、ガソリン・石油類などの非水溶性危険物にも十分な消火性能を発揮するため、消火対象が特定しにくい火災に臨む公設消防隊に特に重宝されています。

消防車からコンビナート用消火システムまで幅広く採用

  • 化学消防車 化学消防車

  • 大容量泡放水砲による放射 大容量泡放水砲による放射

  • 石油タンク用消火設備
    石油タンク用消火設備

KEY PERSON of DIC

ポリマ第二技術本部ポリマ技術10 グループ 主任研究員 松尾 二郎

希釈しやすく破れにくい泡は、DIC技術の結晶です

泡消火薬剤は、火災の特性に応じて発泡倍率(水溶液と泡の体積比)を変えたり、シャワー状やノズル噴射など放水方式も使い分けられます。「メガフォームは消火性能はもちろん、扱いやすく幅広い使い方ができる」と高評価を得ている背景には、精密な分子設計・配合テクノロジーから生まれた泡の生成技術にあります。

ポリマ第二技術本部ポリマ技術10 グループ 主任研究員 松尾 二郎

アドバンストポリマ営業本部 フッ素化学品営業部 担当課長 神場 康一

海外でもDICの界面活性剤の技術は注目されています

DICは泡消火薬剤では後発のため、消火設備メーカーとも協働して他社と一線を画す消火性能や、火災現場での使いやすさを追求してきました。そして数々の火災事故で性能を実証し、コンビナートや空港・トンネルなどで採用を拡大しています。当社独自のフッ素系界面活性剤の技術は、海外の泡消火剤メーカーにも注目されています。

アドバンストポリマ営業本部 フッ素化学品営業部 担当課長 神場 康一

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