2013年6月7日

リビングラジカル重合技術の工業化を実現

レジスト用フッ素系高機能添加剤として製品化、北陸工場に専用プラントを増設

 DIC株式会社(本社:千代田区淡路町、社長執行役員:中西義之)は、最先端分野で使用される高付加価値材料に有効な製造法として、かねてより産業界から注目されてきたリビングラジカル重合技術の工業化に成功するとともに、同技術を活用し、主に半導体や液晶パネルの製造工程で多用されるレジスト(塗工液)用のフッ素系高機能添加剤を製品化し、販売を開始しました。また、同新製品の量産化にあたって、DIC北陸工場に専用プラントを増設中であり、本年9月から本格稼働を開始する予定です。今回の増設により、極めて低濃度での金属含有分管理も実現可能となります。

 リビングラジカル重合とは、モノマーとモノマーとを重合してポリマーを生成する過程において、開始反応と成長反応のみから成り、ポリマー末端を失活させる副反応を伴わない精巧かつ高度な合成手法です。重合中におけるポリマー末端が常に成長反応活性を保ち続けることから「リビング」(生きている)と呼ばれています。リビングラジカル重合においては、それぞれ分子の長さのそろったポリマーを得ることができ、これに新しいモノマーを添加することにより、そのもとに重合が進行し、均一な内容で構成されたひと固まりのポリマー(ブロックポリマー)を合成することが可能です。現在、工業的にもっとも一般的に利用されているラジカル重合では、分子の長さが揃わないポリマーが生成されます。リビングラジカル重合では、従来の合成手法では不可能であった分子量分布の均一化や機能部位の配列を高度に制御することが可能となります。

 エレクトロニクス分野においては、昨今、電子部品の高集積化、小型・薄型化の進展に伴い、部材製造工程におけるレジストの精密塗工や平滑塗工、ならびにパターンの細線化が必須条件となり、高度に精密制御された分子構造を有するポリマーの合成が産業界から強く求められています。リビングラジカル重合は、こういった産業界の要望に応えるポリマーを生成しうる可能性を有していることから、今後、高機能高分子材料創製の基盤技術となることが期待されており、多くの企業が注目してきました。しかしながら、技術的難易度や製造コストなどの点から、安定した量産体制の実現に至っていません。このたび当社では、触媒として使用する金属の高精度の除去、ならびに反応を安定して進行させるための極めて低いレベルでの酸素濃度管理の工業レベルでの実現など、独自の技術とノウハウを結集することにより、リビングラジカル重合の工業化に至りました。これは、今後のエレクトロニクス業界等の発展に大いに貢献するものと期待されます。

 リビングラジカル重合を用いて当社が新規開発したフッ素系高機能添加剤は、低添加量において高度に平坦な均一塗膜を形成するといった優れたレベリング性を発現する性能を有しており、レジストを塗工した際のムラやハジキ、ピンホールなどの塗膜欠陥を撲滅します。同新製品は、業界のニーズに応えるものとして今後、従来品からの置き換えが加速することが期待されます。

 当社では今後、同新製品をスマートフォンやタブレット、テレビ、パソコンなどのディスプレイや半導体などの分野に向けて鋭意拡販を進め、2015年には年間10億円の売上を見込んでいます。

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