サステナブル素材とは?種類やメリット、課題をわかりやすく解説

サステナブル素材の種類やメリット、課題をわかりやすく解説するイメージ

サステナブル素材とは、環境や社会課題に配慮した持続可能な材料の総称で、リサイクル素材、バイオマス素材、生分解性素材、モノマテリアルなどが代表例として挙げられます。

近年、脱炭素やプラスチック規制の強化を背景に、製造業を中心にサステナブル素材への見直しが急務となっています。しかし、いざ導入を検討する段階になると、「環境対応に切り替えることで、製品の見た目や品質が犠牲になるのではないか」という懸念が壁になり、足踏みをしてしまうケースも少なくありません。

この記事では、サステナブル素材の意味や種類、導入するメリット、課題に加え、意匠性や機能性を妥協せずに環境対応を実現する方法を解説します。

サステナブル素材とは環境・社会課題に配慮した持続可能な材料のこと

サステナブル素材とは、環境負荷を抑えながら社会的・経済的に持続可能な形で生産・利用できる素材の総称です。原料の調達・製造・使用・廃棄に至る全プロセスで、環境や社会への影響に配慮していることが求められます。

サステナブル素材は「エコ素材」「グリーン素材」と呼ばれることもありますが、単に環境に優しいだけでなく、労働環境の公正さや調達の透明性、長期的な安定供給まで含む広い概念です。天然由来・リサイクル・生分解など複数の観点から「サステナブル」かどうかが総合的に判断されます。

パッケージング分野においては、インキ・コーティング・フィルムといった加工材料全体との整合性も「サステナブルかどうか」を左右する要素です。素材単体の選定だけでなく、製品を構成するすべての材料が環境性能に影響します。

サステナブル素材が注目される社会的背景

サステナブル素材は、なぜいま注目されているのでしょうか。その社会的背景について詳しく解説します。

<サステナブル素材が注目される社会的背景>
  • プラスチック規制と脱炭素の加速
  • 消費者・投資家からの環境配慮要請

プラスチック規制と脱炭素の加速

近年、欧州を中心に包装・パッケージに対する環境規制(PPWR/包装・包装廃棄物規則など)が強化され、域内で流通する製品の包装素材の見直しやリサイクル対応が法的に求められ始めています。日本国内でも、プラスチック資源循環促進法(プラ新法/2022年施行)により、使い捨てプラスチック(特定プラスチック使用製品)を多く提供する事業者に対し、国が定める排出削減基準への対応が義務づけられるなど、国内外で法的な規制・キャッチアップの動きが本格化しています。

2050年カーボンニュートラル目標の達成には、化石資源由来素材からの転換が欠かせません。環境省、経済産業省、農林水産省、文部科学省が発表した「バイオプラスチック導入ロードマップ」(2021年)でも、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入する目標が掲げられています。サステナブル素材の採用は、企業の規制対応とカーボンニュートラル戦略の両面で不可欠な選択肢になっています。

消費者・投資家からの環境配慮要請

環境(E)・社会(S)・企業統治(G)への配慮を投資判断の基準とする「ESG投資」の拡大により、現代の企業評価のあり方は大きく変わり、素材調達の透明性や環境配慮が企業価値評価に直結するようになりました。2015年にSDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択されて以降、企業の環境・社会への取り組みは投資家・取引先・消費者のいずれからも厳しく問われています。

環境意識の高い消費者が増える中、実態を伴わないのに見せかけのエコを謳うグリーンウォッシュの横行は、企業の信頼を失墜させる大きなリスクとなっています。サステナブル素材の採用とその情報開示が、ブランド価値を守る実効的な手段となるでしょう。

サステナブル素材の種類と特徴

ここからは、サステナブル素材の主な種類を解説します。主な素材として4つの素材を見ていきましょう。

サステナブル素材の種類

リサイクル素材

リサイクル素材とは、廃棄物や使用済み製品を回収・再資源化して作られる素材です。再生PET(ポリエチレンテレフタレート)・再生PP(ポリプロピレン)・古紙パルプなどが代表例で、新規資源の採掘量を減らせます。製造前段階(プレコンシューマ)の端材を原料とするケースと、使用後(ポストコンシューマ)の廃棄物を原料とするケースがあり、後者のほうが資源循環への貢献が大きいとされています。

課題は品質の安定性と異物混入リスクです。回収されるリサイクル原料の品質はバッチごとにばらつきが生じやすく、用途に応じた品質管理が重要になります。

バイオマス素材

バイオマス素材とは、トウモロコシ・サトウキビ・木材パルプなど植物由来の再生可能資源を原料とする素材です。植物は成長過程でCO2を吸収するため、ライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減に貢献し、カーボンニュートラルな素材として位置づけられます。

石油由来素材と同等の性能を持つものも開発されており、バイオマスインキ・バイオマスPP・PLA(ポリ乳酸)などパッケージング分野での活用が進んでいます。一方で食料と競合する農地使用や、バイオマス比率が低いにもかかわらず「バイオ素材」と訴求するグリーンウォッシュには注意が必要です。

生分解性素材

生分解性素材とは、微生物の働きによって自然界で分解される素材です。代表例であるPLAは、植物由来の「バイオマス素材」としての顔を持ちながら、一定の環境下で土に還る「生分解性素材」としての特徴も兼ね備えています。海洋プラスチック問題への対応策として注目されていますが、分解には一定の温度・湿度・微生物環境が必要であり、自然界のあらゆる場所で分解されるわけではありません。

リサイクル素材との使い分けも重要で、生分解性素材がリサイクルルートに混入すると品質低下を招くため、分別収集体制との整合性を考慮した設計が求められます。

モノマテリアル素材

モノマテリアル素材とは、単一素材で構成されたパッケージ材料で、分別が容易でリサイクル適性が高いのが特長です。複合素材(マルチマテリアル)は剥離・分別が困難なためリサイクルの妨げになりますが、モノマテリアルなら回収後の再資源化がスムーズに行えます。

かつては複合素材でしか実現できなかった高い酸素バリア性や保香性、耐熱性を、フィルムの加工技術によって単一の素材だけで達成する技術開発が急速に進んでいます。

環境省が「プラスチック資源循環総合サイト」で掲げている「環境配慮設計(リサイクルしやすい製品設計)への転換」という推進方針とも合致しており、これからの素材設計において最も注目されている選択肢の一つです。

サステナブル素材の導入で期待できる3つのメリット

サステナブル素材には、サステナブル素材の導入で期待できる3つのメリットがいくつかあります。ここでは3つのメリットを詳しく見ていきましょう。

<サステナブル素材の導入で期待できる3つのメリット>
  • メリット1:脱炭素・資源循環への貢献
  • メリット2:ESG・ブランド価値向上への寄与
  • メリット3:将来を見据えた規制対応への備え

メリット1:脱炭素・資源循環への貢献

サステナブル素材を導入することで、化石資源への依存低減や資源循環の促進につながります。バイオマス素材は温室効果ガス排出量の削減に寄与し、リサイクル素材は新規資源の使用抑制に効果的です。これらを通じて、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減が期待できます。

メリット2:ESG・ブランド価値向上への寄与

環境配慮型素材の採用は、ESG評価の向上や、投資家・取引先・消費者からの信頼獲得につながり、企業やブランドの価値向上に寄与します。FSC認証(森林認証)・バイオマスマーク・RecyClassなどの第三者認証・評価制度への対応や活用が可能となり、製品の付加価値向上にもつながります。環境に配慮した素材の採用と適切な情報開示は、グリーンウォッシュとの差別化にも役立つでしょう。

メリット3:将来を見据えた規制対応への備え

サステナブル素材を導入することで、プラスチック規制や包装材規制への対応を進めやすくなり、将来的な環境規制への備えにもつながります。欧州パッケージ規則(PPWR)や日本のプラスチック資源循環促進法など、各国・地域で規制強化の動きが進んでおり、企業にとって重要な検討事項の一つとなっています。また、資源価格の変動リスクを分散できる可能性があり、持続可能なサプライチェーン構築にも寄与します。

サステナブル素材導入時によくある懸念と技術の進化

パッケージの素材をサステナブル素材への切り替えにおいてよく聞かれるのが、「発色が悪くなる」「質感が変わる」「バリア性が落ちる」といった品質面の懸念です。しかし近年では、インキ・コーティング・フィルムなどの技術進化により、こうした懸念に対応できるソリューションも増えています。環境性能と意匠性・機能性の両立を目指した材料や技術の開発が進み、用途に応じた選択肢が広がっています。ここでは、サステナブル素材を支える新技術で実現できることを解説します。

<サステナブル素材導入時によくある懸念と技術の進化>
  • バイオマスインキでも発色・物性は妥協しなくていい
  • 高意匠コーティングで質感・光沢を保つ
  • モノマテリアル化でも機能・デザインを両立する

バイオマスインキでも発色・物性は妥協しなくていい

植物由来成分を配合するバイオマスインキに対して、「発色や物性が劣るのでは」というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし現在では技術開発が進み、バイオマス原料を一部配合しながらも、従来のウレタン系インキとほぼ同等の鮮やかな色相・優れた印刷適性・高いラミネート物性を実現したインキが実用化されています。さらに、リサイクル適性への配慮も進められています。ブランドにとって重要な色表現や製品品質を維持しながら、環境配慮にも貢献できます。

DICのバイオマスインキについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
バイオマス対応は設備投資なしで実現できます オフセット印刷用バイオマスインキ
パッケージのバイオマス化を実現 バイオマスインキシリーズ・接着剤シリーズ

高意匠コーティングで質感・光沢を保つ

環境対応素材への切り替えにあたり、「パッケージの質感や光沢感が変わってしまうのではないか」「高級感のあるデザイン表現が難しくなるのではないか」と懸念されることがあります。

しかし近年では、コーティング技術の進歩により、光沢・マット感・手触りといった意匠性をコントロールできるソリューションも増えています。コーティングには、「表面保護」「機能付加」「美観向上」といった役割があり、用途や目的に応じてさまざまな表現を実現できます。例えば、梨地フィルムのような表面凹凸による和紙調の高級感の演出なども可能であり、環境対応と意匠性の両立を目指したパッケージ設計が進んでいます。

DICの機能性コーティング剤について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
パッケージの機能性向上 機能性コーティング剤・ヒートシール剤

モノマテリアル化でも機能・デザインを両立する

リサイクル性向上の観点から注目される「単一素材化(モノマテリアル化)」ですが、「素材構成をシンプルにすることで、バリア性や耐熱性などの機能が十分に確保できないのではないか」「デザイン表現の幅が狭くなるのではないか」といった懸念を持たれることがあります。

一方で近年では、モノマテリアル化においても機能性やデザイン性との両立を目指した技術開発が進んでいます。酸素バリア性・保香性・耐熱性などの機能確保を目指したソリューションも登場しており、用途に応じた材料設計や加工技術を組み合わせることで、必要な機能やデザインを維持しながら環境対応を進められるケースも増えています。

DICのモノマテリアル化に貢献するソリューションについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
モノマテリアル包材のバリア性向上 バリアコーティング剤シリーズ
紙ラベルを使わないモノマテリアルパッケージング

サステナブル素材への切り替えを検討している担当者は、DICにご相談ください

サステナブル素材への移行は、素材単体の選定だけでなく、インキ・コーティング・接着剤・フィルムといった加工材料全体との整合性が重要です。

「環境対応したいが、ブランドの世界観や品質を妥協したくない」というご担当者さまは、材料の総合力を持つDICにご相談ください。インキの発色・コーティングの質感・フィルムのバリア性を束ねたトータルソリューションで、貴社のパッケージングをアップデートします。

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よくある質問

サステナブル素材とはどのような素材ですか?

サステナブル素材とは、環境や社会課題に配慮した持続可能な材料の総称です。原料の調達・製造・使用・廃棄にいたる全プロセスで環境・社会への影響を抑えることが求められます。リサイクル素材・バイオマス素材・生分解性素材・モノマテリアルが主な種類で、「エコ素材」「グリーン素材」と呼ばれることもありますが、労働環境の公正さや調達の透明性まで含む広い概念です。

サステナブル素材に切り替えると発色や質感が落ちますか?

サステナブル素材に切り替えると、環境適性と高い意匠性・機能性を同時に実現できます。例えば、最新のバイオマスインキは従来と同等の発色や優れたラミネート物性を達成しています。また、高意匠コーティングにより光沢や質感を自在に制御可能です。モノマテリアル化においても、高いバリア性や高速印刷適性をしっかりと維持しながらスムーズな環境シフトを推進できます。

サステナブル素材を導入するメリットは何ですか?

サステナブル素材を導入すると、製品のライフサイクルを通じた脱炭素・資源循環へ貢献することができます。また、企業としての信頼獲得やグリーンウォッシュとの差別化によるESG・ブランド価値向上への寄与もメリットとして挙げられます。そして、欧州PPWRなど、将来を見据えたグローバルな規制対応の強化にもつながるでしょう。資源価格の変動リスクを分散し、持続可能なサプライチェーン構築にも貢献します。

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