NEXT VALUE 世界の社会課題と我々が快適にしていくもの
DICが考えるのは、激変する社会に生きる人々のため、何ができるかではなく何をすべきか。社会があるべき姿とはどのようなものか。
DICは「社会の変革に対応する」だけでなく、「変革する社会にどのように貢献するか」を事業課題ととらえ、
さまざまな形でサステナブルな社会をつくる取り組みを紹介します。
事業を通じて貢献していく社会
重点事業領域
ここでは、それぞれの重点領域で、
どのような活動を行っているのか
一例をご紹介します。
TOPICS.01
#サステナブルエネルギー
自律走行が可能な次世代モビリティの「眼」となる。
スマート社会に不可欠な自律走行型自動車の外装塗料。
遮熱塗料・機能性黒顔料
昨今の社会において、自動車メーカーを中心に、誰もが安全・安心に移動できるスマート社会の実現を目指し、自律走行が可能な次世代モビリティの開発に注力しています。
しかし、一般的に自動車の外装塗料には、カーボンブラックという炭素の微粒子が含まれ、物体の形状・位置を検知たり、他の車両や障害物との接触・衝突を防ぐための信号を検知する機能を著しく低下させます。また、検知機能を重視するほどカラーデザインの自由性が損なわれるという課題がありました。
世界有数の化学メーカーBASF社(ドイツ)の顔料部門だった「Colors&Effects社」(2022年7月にDICが同社を買収)は、LiDAR信号を吸収するカーボンブラックを使うことなく深みのあるカラーを発色できるコーティングシステムの開発に成功しました。これによってスマート社会に不可欠な自律走行型自動車の外装塗料は、カーボンブラックへの依存から脱却し、高いセンシング機能とカラーデザインの自由性を手にすることが可能となりました。また、自動車だけでなくセンサーを搭載した多種多様な工業製品に応用できることから幅広い分野への展開が期待されます。
OTHERS他にも
スマート社会に不可欠な高機能バッテリー
LIB2次電池用材料
世界最速硬化の炭素繊維強化プリプレグ
DICARBO® LFシリーズ
TOPICS.02
#ヘルスケア
変化していく肌に、自然と感性の力を与え、肌と気持ちに寄り添う“感性スキンケア”
感性スキンケア”ブランド『fillwith』
人生100年時代の到来や、少子高齢化に伴う医療・介護需要の拡大のため、社会的な健康志向は高まり続けています。
DICでも「ヘルスケア領域」を重点領域と定め、40年以上続く食用藍藻類スピルリナ事業で培った藻類培養技術をベースに、健康食品や食用色素、食品素材、飼料分野など藻類事業のポートフォリオを拡大しています。2022年8月には、化粧品原材料「スイゼンジノリ細胞外多糖体」(商標名:サクラン®)の原料となる藍藻類スイゼンジノリの屋内における量産化技術の確立に世界で初めて成功しました。
そのDICならではの技術を用いて、日本オリジナルの化粧品原材料「スイゼンジノリ細胞外多糖体」の自然由来で高い天然保湿力と滑らかでしっとりする触感に着目し、確かなスキンケア機能を持ち、且つ感性に働きかける商品として『fillwith』を開発しました。「スイゼンジノリ細胞外多糖体」はヒアルロン酸の約10倍の保湿力を持つ天然保湿成分です。
さらに、研究開発を進め、唯一無二のスキンケアブランドとして、化学の力を通して“心地よさ”の本質を追求します。
OTHERS他にも
クリーンな環境で培養した植物由来の
DHA
「国内初」抗ウイルス性/抗菌性に作用する3Dプリンタ用フィラメント
TOPICS.03
#スマートリビング
世界初の革新的な活性エステル技術で高速通信規格「5G」の普及に貢献する
エレクトロニクス実装材料対応の耐久性を
実現した世界初の活性エステル
人々の使うスマートフォンやパソコンなどの電子製品には、エポキシ樹脂を用いたプリント配線基板が使用されています。高速通信規格「5G」は、従来の4Gと比べて通信速度が最大100倍となり高周波の電波を使うことから、電気信号の損失が増え高温になるなど関連機材や内蔵部品に大きな負荷がかかります。そのため、従来のエポキシ樹脂では伝送損失の観点で5G対応に限界がありました。
DICが開発した活性エステルは、5Gによる伝送損失を防止し、従来のプリント配線基板の生産プロセスにおいても、条件を変更することなく、同一ラインでの生産を可能にします。さらに硬化物の特性として、高耐熱性、低吸湿性など優れた物性も兼備します。
今後需要拡大が見込まれる5Gや6Gなどの大容量高速情報通信のインフラ整備分野において、ニーズを先取りした機能性材料を展開し、デジタル社会の実現に貢献していきます。
OTHERS他にも
電気自動車(EV)やスマートフォンの
熱を外部に効率的に逃がし、
省エネルギー性能を高める放熱材料
簡単に設置・移設できるIoT環境無線センサー「ハッテトッテ」
TOPICS.04
#カラーサイエンス
高輝度で色鮮やかなディスプレイで、人々の体験を向上
液晶・有機ELディスプレイ向け
カラーフィルタ用顔料(高機能顔料)
液晶テレビ、パソコンなどのカラー映像は、光の3原色であるレッド(R)・グリーン(G)・ブルー(B)を基本につくられます。この3原色のもとになるのが顔料です。液晶ディスプレイは、RGBをパターン状に塗布したカラーフィルタを、バックライトの光が透過することで画像を表示するため、カラーフィルタの顔料が直接、液晶画面の画質を左右します。
DICは、2007年に輝度を格段に向上させたグリーン顔料「G58シリーズ」を上市しました。その後、4Kや8Kの台頭に応えるように、従来の色再現よりも広い色域を表現できる、「G59シリーズ」が誕生しました。今では、DICのグリーン顔料は、世界シェアの85%を超えるデファクト・スタンダード(事実上の世界標準)となっています。また、ブルー顔料においても、輝度とコントラストの卓越したバランスを備えた「Aシリーズ」を開発。その優れた光学特性がスマートフォン業界で高く評価され、市場シェアは約50%に達しています。
液晶テレビ、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど、デバイスごとに異なる要求性能に的確に応えながら新たな付加価値を提供するDICの高機能顔料は、多くのディスプレイメーカーのカラーフィルタに採用され、ディスプレイの高画質化・省エネルギー化(CO₂排出削減)に貢献しています。
OTHERS他にも
植物スピルリナから水で抽出した
鮮やかな食品用着色料
「天然青色色素リナブルー」
豊かな色彩と高い安全性で、
コスメティックの世界に貢献する
化粧品用顔料
TOPICS.05
#サステナブルパッケージ
完全循環型リサイクルの社会実装に向け、環境負荷の少ないパッケージ素材の製品開発
ケミカルリサイクルによるポリスチレン完全循環
DICグループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、持続可能な社会実現のための重要施策として、サーキュラーエコノミーへの対応をサステナビリティ戦略として掲げています。注力市場である食品パッケージ用途において、顧客やサプライヤーと協同しサプライチェーン全体で循環型社会の実現を目指しています。
DICと株式会社エフピコ(本社:広島県福山市、代表取締役会長:佐藤守正)とプラスチック製食品トレーの完全循環型リサイクルに向け、食品トレーの原料であるポリスチレンについて、世界初の溶解分離リサイクル技術を用いた協業を開始しました。
この社会課題解決に向け、両社が保有する技術および回収・リサイクル体制を最大限に活用する新たなモデル構想を打ち出し、DICは色柄付き発泡トレーの新たな溶解分離リサイクル技術を開発しました。これにより、色柄付き発泡トレーについても従来の白色のエコトレーと同様に「トレーtoトレー」のリサイクルが可能になります。2023年には色柄付き発泡トレーなどの市場回収品のリサイクル(PCR:Post Consumer Recycling)を開始し、並行して進めているケミカルリサイクルとのハイブリッド化を目指します。
OTHERS他にも
高い密着性で食の安全性を高めることが
できる水性ウレタン樹脂
ハイドラン AP-201
共押出多層フィルムDIFAREN®
イージーピールフィルムシリーズ