デザインの現場に! ~DICカラーガイド

色見本帳のスタンダード

右の写真のカラフルな短冊、何だかわかりますか?

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正解は、600もの色を網羅した色見本帳、「DICカラーガイド」です。デザイナー必携のアイテムで、デザインの現場で色を選んだり伝えたりする際に、このカラーガイドが使われています。カラーガイドには「DICカラーガイドパート2」や、「日本の伝統色」「フランスの伝統色」「中国の伝統色」などの伝統色シリーズがあり、全てを合わせた収録色は2000以上になります。その豊富な色数とプロにとっての使いやすさで「色見本帳といえばDICカラーガイド」といわれるほどデザインの現場で信頼されているツールなのです。

さまざまなデザインの現場で選ばれるDICのカラーガイド

ひとくちにデザインといっても、車や家電などのプロダクトデザイン、洋服やカーテンの生地などのファッション&インテリア・テキスタイルデザイン、商業スペースなどの空間デザイン、印刷物などのグラフィックデザイン等々、多種多様なジャンルがあります。では、カラーガイドはデザインの現場でどのように使われているのでしょうか? 

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プロダクトデザイナーやテキスタイルデザイナーが新しい製品の色を決める際、製品コンセプトや従来のラインナップを考慮しつつ、ある特定の色を頭に浮かべます。しかし、そのイメージした色を正確に伝えるためには、それを目で見えるかたちにしなければなりません。そこで使われるのがカラーガイドです。カラーガイドの数ある色の中から頭に浮かんだ色と一致するものを選び出すことで、だれもが判るかたちで色を伝えていくのです。また、最近はほとんどの製品で、形状は同じでも色を変えたモデルがいくつも用意されていますが、このようなカラーバリエーションの検討でもカラーガイドが使われます。

空間デザインの分野でもカラーガイドは不可欠です。デザイナーがいつも意識しているのは、「時代の色」「流行の色」という観点です。こういった感性で捉えられている色について、カラーガイドを使って明確にし、実際の壁の色、床の色あるいは街並みの配色を設計していきます。

広告やポスターなどのグラフィックデザインの分野では、印刷物について高いレベルで色の正確性が求められます。例えば、企業ロゴはほんの少しの色のズレも許されません。こんなシーンにおいて、カラーガイドは色指定のツールとして使われています。印刷インキを扱うDICがつくるカラーガイドには、印刷物の色再現性についての情報が豊富に収録されており、この分野での色見本帳のスタンダードになっています。

このように、さまざまなデザインの現場で色のプロ達にDICのカラーガイドが選ばれているのです。

デザイナーが欲しいと思う絶妙な色のラインナップ

デザインの現場でDICのカラーガイドがこんなに支持されているのはなぜでしょうか?それは、カラーガイドにはデザイナーがよく使う色がキメ細かく豊富に揃っているからです。

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「DICカラーガイド」の初版は1968年に発売されましたが、収録色は著名なデザイナー、勝井三雄氏、田中一光氏、灘本唯人氏の3名を招いてデザイナーの観点から選定しました。だから、カラーガイドにはデザイナーが欲しいと思っている色、微妙な違いが求められる色が豊富に揃っているのです。

色揃えについて、グレーを例に見てみましょう。最もベーシックな「DICカラーガイド」には、「灰色」「灰黄」「暗い黄みの灰色」をはじめとして約60色もの微妙に異なるグレーが収録されています。さらに、薄く淡い色調や鈍く地味な色調の色を集めた「DICカラーガイドPART2」には、「明るい灰赤紫」「暗い緑みの灰色」など、さらに数十色もの微妙なグレーがあります。これだけの色数が揃っていることが、多くのデザイナーから「使いやすい」と評価される最大の理由です。色見本帳はほかにも数多くありますが、階調を機械的に変えていくようなものではこのような細かい色の違いは収録できません。

固有の文化を背景にした人気の「伝統色」はDICだけ

「日本の伝統色」「フランスの伝統色」「中国の伝統色」といった伝統色シリーズがあることもDICのカラーガイドの大きな魅力となっています。

色彩は、古くから各国の文化や風土の中で育まれてきたものです。ですから、染色文化に由来した色名が多い日本、食べ物や植物の彩りからの色名が多いフランス、絹織物に象徴される織物文化に根ざした色名が多い中国といったように国ごとに違いが見られます。

日本の伝統的染色と知られる藍染(あいぞめ)にちなんだ色名は、藍瓶に浸けるごとに濃くなる青の様子を、薄い色合いから順に、瓶覗(かめのぞき)、浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、藍(あい)、紺(こん)、といったように呼び分けました。また縹に関しては浅縹(あさはなだ)、中縹(なかはなだ)、濃縹(こきはなだ)、といったさらに細かな使い分けもありました。こうした色彩文化は色に物語性を感じさせます。

染色文化に由来した日本の伝統色の色名

また、伝統色シリーズには色名とその解説が書かれており、色見本帳というだけでなく、伝統色名の事典としての機能もあわせ持っています。深い色合いの青であっても、フランスの伝統色である、ブルー・アドリアティック(アドリア海のブルー)、ブルー・メディテラネ(地中海のブルー)、と称すると、色に対するイメージは異なって伝わります。このように色名が醸し出すカラーイメージは、デザイナーが商品のイメージをつくり上げるときの創造力を刺激することにもつながるのです。

誰にも分かりやすい「色の共通言語」

デザイナーが決めた色は、制作など次の工程へ正確に伝えられなければなりません。その際に色を伝える道具としても、DICのカラーガイドが利用されています。

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テキスタイルを扱うデザイナーであれば糸を染めたり生地を織る工場などに、グラフィックデザイナーであれば印刷会社に対して色を指定します。その際、カラーガイドの「カラーチップ」と呼ばれる色見本の小片を切り取って手渡し、目で見えるかたちで色を伝えます。

DICのカラーガイドは初版発売以来、不変の色番号を守り続けています。ですからプロ同士の間では、「DICの何番」と言えば正確な色が一発で伝わります。しかしDICではカラーチップを渡すという方法で色を伝えることを推奨しています。なぜなら、カラーガイドは1968年から発売し続けているため、古い色見本帳は色あせていることが考えられるからです。こうした考え方も色にこだわるDICならではの姿勢です。色に対するDICの不断の追求が、ユーザーの信頼を得て、カラーガイドを「色の共通言語」たらしめているのです。

デザイナーが思い通りに色を選び、その色を正確に伝える。そうした色のコミュニケーションを支えているのがカラーガイドなのです。色とデザインにかかわるすべてのフェーズでプロの仕事を支え続ける存在、まさに「デザイナー必携のアイテム」です。

デザインの可能性広げるアプリ「DICデジタルカラーガイド」

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カラーガイドをデジタル化した「DICデジタルカラーガイド」は、スマートフォンやタブレット端末、Mac PCで利用可能なアプリです。カラーガイド全シリーズの色情報を掲載、伝統色シリーズの色名や色の由来なども収録しています。色を探す場合にも、指定の色番号に近い色を検索したり、キーワードでの検索といった方法はもちろん、デジタル画像の任意のポイントの色についてカラーガイドの何番に該当するかを即座に表示するといった使い方もできます。

デジタルカラーガイドは2010年の公開以来、既に全世界で数十万件ものダウンロード実績があります。デザインの領域でも、デジタルデータでのコミュニケーションは増えています。タブレット端末などの普及や機能の高度化とともに、DICデジタルカラーガイドの応用範囲はこれからもどんどん広がっていきます。

iPhone版ダウンロード

iPhone(またはiPod touch)の場合は、以下のリンクよりアプリケーションのダウンロードを行ってください。デジタルカラーガイドは無料でご利用いただけます。

Android用ダウンロード

アンドロイドスマートフォンの場合は、以下のリンクよりアプリケーションのダウンロードを行ってください。デジタルカラーガイドは無料でご利用いただけます。

※MacPC版、iPad版もあります。

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