CFOメッセージ

Sun Chemical Corporation President & Chief Executive Officer Myron Petruch

長期的な株主価値向上に向け成長事業への投資を加速し
ポートフォリオ変革を推進します。

最高財務責任者
取締役 常務執行役員
財務経理部門長
古田 修司

基本方針

当社は、2022年よりスタートした長期経営計画「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現するため、投資効率や稼ぐ力を重視したROICを重要経営指標と定め、事業ポートフォリオの変革を推進しております。財務方針としては、「健全な財務体質」、「成長投資」、「利益成長に応じた株主還元」のバランスの取れた運用を目指すとともに、サステナブルファイナンスへの積極的な取り組みを通じて、サステナブル戦略の推進を加速してまいります。
「DIC Vision 2030」では、ROIC以外に経営指標として、ネットD/Eレシオ※1(財務健全性)、配当性向(株主還元)、EBITDA※2(キャッシュフロー創出力)を設定しました。これらを財務活動の経営指標と位置づけ、株主価値の最大化を図ってまいります。

キャッシュフローの最大化

運転資本の適正化による健全な財務体質の維持

2022年度は、中国および欧州での企業買収に加えて、原料やユーティリティコスト上昇による在庫の積み上がりとそれに伴う運転資本増加の影響により、有利子負債が大幅に増加しました。その結果、ネットD/Eレシオは1.15倍と目標を大きく超過しました。当期においては、地域ごとに定めるキャッシュ・コンバージョン・サイクル※3の目標管理を徹底し運転資本の適正化を図るとともにEBITDAの改善によりネットD/Eレシオ有利子負債を削減し、ネットD/Eレシオを1.1倍以下とする予定です。
ROICについては、高付加価値製品の売上比率を高めるとともに低収益低成長事業からの撤退を図り事業ポートフォリオ変革を推進、同時に保有資産の見直しにより資産効率を改善し2030年度ROIC8%超の達成を目指します。なお、社内業績評価指標の一部としてROICを採用しております。

EBITDA

※ROIC:営業利益×(1-実効税率)/(ネット有利子負債+純資産)

事業ポートフォリオ変革に向けた成長投資

当社は、「DIC Vision 2030」の実現に向け、2022年から2025年までの4年間に、「戦略投資」2,300億円と「基盤投資」700億円の総額3,000億円の投資枠を設定しております。
「戦略投資」については、2022年にはイタリアの接着剤・ポリマメーカー「Sapici S.p.A.」、中国のコーティング用樹脂メーカー「Guangdong TOD New Materials Co., Ltd.」を買収。事業基盤を強化し、環境負荷低減と機能性付与に供する製品を広く供給開始しております。
「基盤投資」については、CO₂削減等のサステナビリティ投資として、バイオマスボイラの導入や設備更新、IT・DXの推進として基幹システム構築、サプライチェーン管理システム、品質管理システムの導入等、持続的な成長を支えるためのインフラ整備として投資を実施しました。

最近の主な戦略投資の実績

サステナブルな事業推進に向けて

当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、2030年度までにCO₂排出量50%削減(2013年度比)を掲げております。2022年、CO₂排出量削減目標に連動して借入条件が変わる「サステナビリティ・リンク・ローン」※(以下「SLL」)を実施しました。環境問題をはじめとするサステナビリティを重要な経営課題と位置づけ、脱炭素に貢献する製品・サービスの拡大によって、市場および社会におけるCO₂排出量削減への寄与に向け積極的に取り組んでまいります。

  • 日本格付研究所からSLL原則への適合性について第三者意見を取得
主なサステナブルファイナンス実績

安定的な株主還元

「DIC Vision 2030」では、引き続き安定配当をベースとして連結配当性向30%を中期的な配当水準の目安としております。2022年度の配当については、中間配当50円、期末配当50円、通期100円(対前年同額)となりました。2023年度については、通年100円を見込んでいます。

  • ネットD/Eレシオ=ネット有利子負債/自己資本
  • EBITDA=親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
  • キャッシュ・コンバージョン・サイクル=企業が原材料や商品を仕入れて利益に変換するまでの日数を計算した経営指標