【取材レポート】海南nobinos(ノビノス) 伝統色とふれあう彩りと快適の図書館 <いろどり編>
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2020年6月、和歌山県海南市にオープンした「海南nobinos(ノビノス)」は図書館機能をはじめ、最大254人収容のホール、ボルダリングができる部屋、カフェ、広場などを擁するユニークな市民交流施設。この施設ではDICグループの多様な製品・サービスが採用されています。ライブラリーでは、グラフィック業界をはじめ、あらゆる分野で使われている色見本帳DICカラーガイドシリーズや世界に向けてアジアのトレンドを毎年発信している「アジアカラートレンドブック」を閲覧することができ、公共施設では貴重な機会となっています。また、施設の彩りに生かされている「海南の伝統色」は、DICカラーガイド「日本の伝統色®」から選ばれ、建築材料、不燃化粧板がユニバーサルデザインカラーの配色で使われています。
宇尾 この場所には海南市庁舎や児童図書館が建っていました。2015年に市庁舎が高台へ移転することが決定し、その跡地には市民が交流できる施設を作ることになりました。私は2016年に教育委員会に異動になり、この施設を作る担当になったわけですが、私に与えられたミッションは二つでした。一つは「図書館」を作ること。もう一つは「にぎわいを創出する施設」を作ることでした。人口5万人弱の海南市も少子高齢化に悩んでいまして、市も子育て支援や地域の活性化を図るために市民が交流をする場所を必要としていたのです。
宇尾 nobinosには市民が「のびのび」と集ったり、「のびのびできる巣」という思いが込められています。ネーミングは公募し、その中から選んだものです。幅広い年代の方に快適に過ごしてもらうために、施設にあったらいいものやアイデアを海南市内の小中学校の子どもたちにも聞いてまわりました。また、にぎわいを創出するためのターゲットは子育て世代の人たち。彼らが気軽に子どもを連れてきて、図書館を利用し、さらにリピーターになってもらうには? ということを意識し、施設の計画を練っていきました。2016年に計画を開始し、設計、施工に4年を要しました。本来は2020年4月に開館する予定でしたが、コロナ禍の影響で6月1日に開館しました。
宇尾 「海南らしい、いままでにないような居心地のいい図書館を作りたい」という思いが常にありました。それには海南という土地の伝統や風習を含んだ「魅力」を伝えるストーリーが必要でした。和歌山県には国宝建造物が7つあり、そのうち4つが海南にあります。加えて、工芸品では紀州漆器、豊かな自然にも恵まれお菓子のルーツといわれる「橘(たちばな)」もあるし、「しらす」もある。

色の由来を解説するテキストはDICが提供。海南の伝統色コーナーに使用されている素材はウレタンで、ソフトな感触。色の解説文の下には伝統色が使われている物産や文化財などをピクトグラムで表している。


貸し出す本を運搬するカートにも伝統色の解説を配している。さりげなく海南の伝統色を市民に浸透させる演出だ。

シンプルでわかりやすくデザインされた海南nobinosのフロアマップ。
宇尾 そうでしたね。海南の伝統色はDICカラーガイド「日本の伝統色®」の中から17色を選びました。みかんの原種で、お菓子の起源といわれる橘は『柑子(こうじ)色』といった具合に伝統色を選んでいったんですよ。来館者には伝統色を通じて海南の魅力を知ってほしいという思いがあります。中には伝統色や色彩全般について知りたい人もいると思うので、4階のメインライブラリーにはDICのカラーガイドをはじめ、色について調べられるコーナーを設けました。顔料、染料、自然素材などに見られる多種多様な色について興味のある人は、ここでページをめくっています。いつか海南から世界に羽ばたくデザイナーが生まれたらうれしいですね。


4階メインライブラリーの「色・デザインの本」コーナーでは『日本の伝統色』『中国の伝統色』など、DICのカラーガイドが置かれ、自由に閲覧・貸し出しができる。メインライブラリーを占める小説や漫画、ライトノベルとは趣が異なる、重量感のある色の見本帳を好奇心からめくる子どもの姿も。
【所在地】
〒642-0002 和歌山県海南市日方1525-6
【TEL】
073-483-8739
【オフィシャルウェブサイト】
https://kainan-nobinos.jp
※最新情報や詳細はオフィシャルウェブサイトでご確認ください
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