技術統括本部長メッセージ

常務執行役員 技術統括本部長 川島 清隆

多様な力・多様な個を結集し、
挑戦する技術へ

常務執行役員
技術統括本部長
川島 清隆

今や世界は、パンデミックによる生活環境の激変とボーダレスな戦争脅威の下にあり、不安と混迷の中、価値観が大きく変化しています。該状況下、DICグループは、今般、従来の3ヶ年計画ではなく、ローリング型の長期経営計画:DIC Vision 2030を策定いたしました。この長期経営計画における技術部門の果たす役割は果てしなく大きく、計画を実効化する上で、今後は、「守りでなく、挑戦する技術開発」、「グローバル企業であることを最大限活かした技術開発」、そして「個の能力を最大化した技術開発」を志向したいと考えています。

技術の深化から探索へ

DICグループの製品は、これまで多くの場合、既存の基盤技術を深化することで社会への貢献を果たしてきました。しかし、長期経営計画で掲げる事業ポートフォリオの変革には、全く新しい基盤技術や、サステナビリティ等の新たな前提条件の技術が必要となってきます。
DICグループでは、既に、既存技術の変性による開発(深化)だけでなく、全く新しい技術の創生・導入(探索)にも大きな経営資源やリソースを投入する動きをスタートしています。また、同時に、お客様の顕在課題だけでなく、お客様が未だ気づいていない潜在課題の抽出や解決に向け、技術部門のマーケティング活動を介して、新しい用途・市場への既存・新規技術の適用(探索)も展開しています。

One Global Lab.としての統合

2021年、DICグループの一員として、BASF社の顔料事業(現C&E)が加わりましたが、これによりカラー、パッケージング& グラフィックスビジネスにおけるグローバルな事業体制が完備されることになりました。従来より、DICとSun Chemicalとの間では、協業による研究開発が進められ、多くの実績に結びついていますが、長期経営計画をグローバルで推進する上で、C&Eを含めた3 社を、より強く連結することが必須となります。そのため、DICグループでは、3社間での共同研究や情報共有等、製品開発軸での統合に加え、特許、分析、AI、マーケティングを対象とした機能軸での3社統合の準備を進めています。

DIC、Sun Chemical、Colors & Effects のグローバル会議

DIC、Sun Chemical、Colors & Effects のグローバル会議

技術者が働きたい、働きやすい環境へ

DIC Vision 2030では、「会社・グループを変革する」ための基本戦略として、「人的資本価値の最大化を図る」ことを取り上げています。
どんなに優秀な技術者が揃おうとも、技術者を新しい技術へといざなう「技術者自身のモチベーション」が不足すると、技術者個人も、 また会社・グループとしても社会に貢献できず、成果にもなり得ません。つまり、技術者のモチベーションを高揚させ続けられる、換言すれば「個の結集」を最大化できる、研究環境が必要となるのです。それは何なのか?答えは求め続ける先にあるのです。
既にDICグループでは、以下の取り組みに着手しています。
● 会社・グループとしての人材育成と技術者個人のキャリアパスの融合
● 自主性の尊重(業務時間の一部を個人的探索研究に充てるルール、いつでもどこからでも新規の研究テーマを個人が提案できる制度等)
● 社外活動の積極的推奨と支援(学会発表、技術論文の公開等)
● カウンセリング、メンタリングを含む、個人別の働き方ケアシステムの整備
今後、DICグループは、技術者を含む全社員の働き方改革と働く環境完備を進め、社会的利益を追求する集団へと成長し続けてまいります。