DICの研究開発

製品の開発から市場化までの間には、部門も職域も異なる多くの社員のたゆまぬ努力と協力が必要不可欠です。 一人ひとりが市場や社会の変化を敏感に察知 し、自立性と責任感を持って一丸となり目標の達成に取り組む。 DICの研究開発の現場には、DIC創業の精神「The DIC SPIRIT」の三本柱"進取・誠実・勤勉"を体現する数多くの先輩社員が活躍しています。

製品の市場化までの流れと職種
製品名:良表面平滑性PPS「FZ-8600」

PPS=ポリフェニレンサルファイド:200℃以上で連続使用可能なエンジニアリングプラスチック。広い温度領域での高剛性・強度保持、寸法安定性、耐候性・耐溶剤性等の諸堅牢性に優れている。

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フェーズ1. 開発の提案・プロジェクトの立ち上げ(営業部)

自動車用ヘッドランプリフレクター(反射鏡)には軽量化、リサイクル法、高輝度化による表面平滑性と耐熱性が求められるようになり、 金属や熱硬化性樹脂からの代替として「PPS」に絶好のチャンスが巡ってきました。 しかし表面平滑性と耐熱性の両立は困難であり、材料設計だけでは克服は難しい。 そこでユーザー、成型メーカーとの連携による開発を提案し、3社間での課題や情報を共有すべく奔走しました。 3社が同じベクトルで開発を進めていくための旗振りや、技術部や製造部の架け橋としての役目を担い、開発チームのモチベーションの向上や情報伝達に努めたことで、ついに量産化に成功したのです。

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フェーズ2. 新コンパウンド開発(技術部)

これまでにないハイレベルの良表面平滑性が要求されるだけではなく、低ガス・設計自由度(良成形性)も意識する必要があり、非常にハードルの高い研究テーマでした。 通常のPPSでは成形収縮により成形品表面に凹凸が生じてしまい、ユーザーの要求レベルを達成することができませんでした。 そこで、フィラーや繊維状強化材を複合化することを提案。 材料の選定・添加量の適正化を繰り返すことにより、ついに凹凸の発生を大幅に抑えることに成功しました。 さらに当社の強みであるPPSポリマーの設計・合成技術を駆使、発生ガスが少なく、成形性の良い新規PPSを開発することにも成功しました。

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フェーズ3. 評価分析(技術部)

本研究開発の最大の課題は評価方法の確立でした。 ランプリフレクター材料としての最終評価は、ユーザーによる「目視」です。よって材料開発には、当社での評価方法との相関をとる必要がありました。 実成形品と同じ表面粗度の評価金型を起こしテストピースを成形後、レーザー顕微鏡や電子顕微鏡を駆使して表面平滑性を評価し、ユーザーとの間で何度も議論を重ねました。 この結果、ユーザーの目視評価と相関のある当社独自の評価方法を確立することができました。 評価方法が定まったことで開発速度が格段に向上したのです。表舞台には出ないこんな苦労が素材開発を支えています。

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フェーズ4. 量産化の実現(製造部)

技術部から発行された製品組成は、既存製品に使用する原料とは異なるものであったため、製造方法や品質管理法、評価法を一から構築する必要がありました。 特にヘッドランプの曇りの原因となる発生ガスについては管理幅を厳しく設定し何度も試行錯誤を繰り返し、対策を講じました。 この結果を基に、既存生産ラインの不具合箇所を改良した新規ラインを導入。 さらに、脱ガスに関する製造方法を技術部と取り組むことによりハイスペック製品の量産化に成功しました。 現在ではこの経験が他の製品製造においても活かされており、当社の高品質を保つキーテクノロジーとなっています。